コンピュータ支援方式または口頭・記入方式による糖尿病食事歴調査の比較

著者の結論: 

バイアスのリスクが中等度と判定された1件の小規模な研究に基づけば、CAHTSは参加者によく受け入れられており、実践面において時間を節約できる可能性があるという暫定的な結論に至った。ただし、これらの事項を確認するため、さらに多くのサンプルサイズによる頑健性の高い研究を実施する必要がある。現段階では、他の臨床アウトカムに関する結論を導出することはできない。

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背景: 

糖尿病はインスリン抵抗性またはインスリン欠乏によって特徴づけられる慢性疾患であり、グリコヘモグロビンA1c(HbA1c)値が上昇する。食事内容および食事指導の遵守と低いHbA1c値および糖尿病コントロールとの間には相関性がある。食事歴は糖尿病を管理するための有効な臨床ツールであると考えられ、従来より口頭・記入方式で聴取されているが、コンピュータ支援履歴調査システム(CAHTS)を利用してデータを収集することも可能である。CAHTSの最初の記述がみられるのは1960年代であるが、この手法が食事歴の収集、臨床ケアおよび生活の質(quality of life)などの患者アウトカムに与える影響については依然として不明なままである。

目的: 

コンピュータ支援方式または口頭・記入方式による食事歴調査が糖尿病患者のアウトカムに与える影響を評価する。

検索戦略: 

コクラン・ライブラリ(第6号、2011年)、MEDLINE(1985年1月~2011年6月)、EMBASE(1980年1月~2011年6月)およびCINAHL(1981年1月~2011年6月)を検索した。入手した論文の参考文献リストも掘り下げて追跡し、言語および出版物のステータスに制限は設けなかった。

選択基準: 

糖尿病患者を対象にコンピュータ支援方式と口頭・記入方式による食事歴調査を比較したランダム化比較試験。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが検索によって取り出した論文の標題と抄録を別々に調べた。妥当と思われる論文は全文を吟味した。選択基準を満たしている研究は当該集団と介入の特徴を抽出し、意見の相違があれば話し合いまたは第三者によって解決した。同様に、バイアスのリスクも別々に評価した。

主な結果: 

抽出した2,991 件の研究のうち、38例の参加者を組み入れた1件のみが計8週間にわたって2種類の食事歴調査法を比較していた。著者らは、患者がCAHTSを利用することに次第に慣れてきたため、患者の食事記録とコンピュータ評価との相関関係が向上したと認識している。対照群では、報告された脂肪摂取量が少なく、コンピュータの質問に回答した場合には脂肪摂取量が多かった。介入が糖尿病管理と血糖値に与える効果は報告されていない。本研究では、バイアスのリスクが中等度と考えられた。

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