腎機能が低下した成人および小児に対する鉄治療

論点

貧血(血液中の赤血球数の減少)は、腎障害患者に生じることが多く、特に透析治療を必要とする患者に多い。貧血は、疲労感、運動耐性の低下、心拡大を生じる場合がある。貧血の一般的な原因は、エリスロポエチンというホルモンの産生量の減少である。鉄欠乏は貧血を増悪させ、エリスロポエチン産生を刺激する薬物への反応を低下させる可能性がある。鉄は経口または静脈内注射(静注)によって投与する。静注(Intravenous:IV)鉄は病院で監督下のもとに行われる。鉄の投与経路については、経口よりも静脈内注射の方が適しているかどうかは不明である。

実施したこと

慢性腎疾患患者を対象に経口鉄と静注鉄を比較した39試験(参加者3852例)をレビューした。

わかったこと

経口鉄と比較して、静注鉄ではヘモグロビンと鉄の血中濃度が上昇すると考えられる。しかし、静注鉄では、経口鉄で認められる便秘、下痢、悪心や嘔吐などの副作用は軽減するものの、アレルギー反応の頻度が増加する可能性がある。経口鉄と比較して静注鉄では、生活の質が改善され、全般的な死亡率や心疾患による死亡に変化があるかどうかを判断する上で、科学的根拠(エビデンス)は不十分であった。

結論

これらの結果は、静注鉄は経口鉄と比較して鉄濃度とヘモグロビン値の上昇に有効であることを示唆している。しかし、一部の静注鉄投与患者に重篤なアレルギー反応が生じるわずかなリスクがあるにもかかわらず、生活の質や死亡率の改善によって静注鉄の有益性を正当化してよいかどうかを決定するには、データが不十分であった。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2019.09.30]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。《CD007857.pub3》

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