母乳栄養期間延長のための出産前母乳栄養教育

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母乳栄養は乳児の最適な食事として十分に認識されており、世界保健機関は、全乳児が出産後6ヵ月間以上の完全母乳哺育を受けるべきだと勧告している。6ヵ月齢前に与えられる補助食品のおかげで母乳哺育が妨げられる傾向があるが、これは健康上の利点にはならない。母乳哺育(BF)により小児の健康、母親の健康及び母子の結びつきが改善可能である。BFを受けた乳児の胃腸疾患及び呼吸疾患、中耳炎及びアレルギーの発症率は低く、視力、発話及び認知の発達もより良好である。妊娠中の教育的介入の母乳哺育期間への影響は、依然として評価されていない。 本レビューには、大半が米国、カナダ、英国及びオーストラリアなど先進国の女性8,262名を対象とする16件のランダム化比較試験のデータが含まれている。ピアカウンセリング、授乳相談及び妊娠中の公式のBF教育は、BF期間を延長させると思われる。ピアカウンセリングは、BF開始例についてもルーチンのケアより良好な効果を示すと思われる。しかし対象となる試験の大半が質が不良で、BF教育の効果がかなり低いため、特定のBF教育による介入を推奨することは適切ではない。本レビューの所見は、単独の試験に基づいており、十分なサンプル・サイズによる、適切にデザインされた臨床試験の実施が必要である。

著者の結論: 

方法論的に重大な限界があること、及び認められた効果サイズが小さいことから、特定の出産前BF教育を勧告するのは適切ではない。出産前BF教育の有効性を評価する十分な検出力を有するRCTを、緊急に実施する必要性がある。

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背景: 

母乳栄養(BF)は、乳児にとって最適の食物としてよく認識されている。出産前BF教育のBF期間への影響は評価されていない。

目的: 

BF開始例及びBF期間の増加のための出産前BF教育の有効性を評価する。

検索方法: 

Cochrane Pregnancy and Childbirth Group's Trials Register(2011年12月2日)、CENTRAL(コクラン・ライブラリ2011年第11号)、MEDLINE(1966年~2011年11月30日)及びScopus(1985年1月~2011年11月30日)を検索した。 専門家と連絡を取り、検索した論文の文献リストを検索した。

選択基準: 

BF期間について、公式の出産前BF教育の効果を評価するか、又は2種の公式の出産前BF教育法を比較する全ての同定した、発表済み、未発表及び継続中のランダム化比較試験(RCT)。出産中又は出産後にBF教育を組み入れたRCTを除外した。

データ収集と分析: 

検索戦略の結果として同定した可能性のある全試験を評価した。レビューア2名が各対象試験から、合意済みの用紙を用いてデータを抽出し、バイアスのリスクを評価した。論議により不一致点を解決した。

主な結果: 

本レビューには8,506名の女性を含む19件の試験を組み入れ、女性8,262名を含む16件の試験のデータを解析に用いた。各比較に試験1件のみ使用可能であったため、メタアナリシスは実施しなかった。 5件の試験では、単独のBF教育方法をルーチンのケアと比較した。ピアカウンセリングは、BF開始例を有意に増加させた。 3件の試験では、1つの形態のBF教育と別の形態のBF教育を比較した。BF開始例又はBF期間の増大では他の介入より有意に有効な介入はなかった。 7件の試験では、複数のBF教育と単独のBF教育を比較した。BF教育を組み合わせた介入は、BF開始例又はBF期間の増加に対し単独の介入に勝る有意な効果を示さなかった。但し、1件の試験では、BF教育の組み合わせにより乳首の疼痛及び亀裂が有意に低減した。 1件の試験では、介入の各種組み合わせを比較した。小冊子+ビデオ+授乳相談(LC)を受けた女性の6ヵ月目の完全BFは、小冊子+ビデオのみ受けた女性よりかろうじて有意に増加した。 2件の試験では、BF教育の複数方法をルーチンのケアと比較した。BFの小冊子+ビデオ+LCの組み合わせでは、3ヵ月目の完全BFがルーチンのケアより有意に増加した。

訳注: 

監  訳: 江藤 宏美,2013.1.30

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

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