動脈瘤性くも膜下出血に対する抗血小板療法

著者の結論: 

本レビューから、抗血小板薬治療患者にアウトカムの良好な傾向が示されており、これはおそらく二次的虚血の減少によるものと思われる。しかし、結果は統計学的に有意ではないため、明確な結論を出すことはできない。また、抗血小板薬によって出血合併症リスクが上昇する可能性がある。現時点でのエビデンスに基づけば、二次的虚血やアウトカム不良の予防を目的とした、抗血小板薬による治療は推奨できない。

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背景: 

動脈瘤性くも膜下出血患者の二次的虚血は、高頻度のアウトカム不良原因である。血管攣縮に加えて、血小板凝集は二次的虚血の病理発生に関与していると思われる。実験的研究から、抗血小板薬によって二次的虚血の予防が可能であることが示唆されている。

目的: 

抗血小板薬が動脈瘤性くも膜下出血患者のアウトカムを変化させるか否かを評価する。

検索方法: 

Cochrane Stroke Group Trials Register(最終検索2006年8月)、MEDLINE(1966年~2006年8月)およびEMBASEのデータベース(1980年~2006年8月)を検索した。同定した試験の参照文献リストも検索した。

選択基準: 

動脈瘤性くも膜下出血患者を対象に抗血小板薬をコントロールと比較しているすべてのランダム化比較試験(RCT)。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが独自にデータを抽出し、試験の質を評価した。アウトカム不良、致死率、二次的虚血、頭蓋内出血合併症および動脈瘤再出血に関して、ITTの原則に基づいて相対リスク(RR)を算出した。一次解析が統計学的に有意な場合は、ワーストケース解析を行った。

主な結果: 

患者計1385例を対象とした7件のRCTを本レビューに含めた。これらの試験のうち4件が質の高い研究の基準に適合した。すべての抗血小板薬について、アウトカム不良(RR0.79、95%信頼区間(CI)0.62~1.01)および二次的脳虚血(RR0.79、95%CI0.56~1.22)は減少し、頭蓋内出血合併症(RR1.36、95%CI0.59~3.12)は増加したが、これらのはいずれも統計学的に有意ではなかった。致死率(RR1.01、95%CI0.74~1.37)や動脈瘤再出血(RR0.98、95%CI0.78~1.38)に対する効果はなかった。個々の抗血小板薬では、チクロピジンのみがアウトカム不良を統計学的に有意に低下させたが(RR0.37、95%CI0.14~0.98)、この推定値は小規模な1件のRCTのみに基づくものであった。

訳注: 

監  訳: 江川 賢一,2008.1.11

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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