脳卒中後の運動機能回復のためのEMGバイオフィードバック

著者の結論: 

少数の個々の研究では、EMG-BFBプラス標準的な理学療法を標準的な理学療法単独と比較した場合に、運動出力、機能的回復および歩行の質の改善を示唆しているエビデンスがあるにもかかわらず、同定されたすべての研究を統合すると、治療の利益は見出せなかった。試験が小規模で、全般的にデザインが不良であり、様々なアウトカム指標が用いられていたことが原因で、総じて、結果は限られたものであった。

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背景: 

筋電図バイオフィードバック(EMG-BFB)は、脳卒中患者の運動機能回復のために標準的な理学療法とともに用いた場合に付加的な利益があると考えられている方法である。しかし、個々の試験および過去のシステマティック・レビューからのエビデンスは決定的なものではなかった。

目的: 

脳卒中後の運動機能回復のためのEMG-BFBの効果を評価する。

検索戦略: 

Cochrane Stroke Group Trials Register(最終検索日2006年3月30日)、Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)(コクラン・ライブラリ2005年第4号)、MEDLINE(1966年~2005年11月まで)、EMBASE(1980年~2005年11月まで)、CINAHL(1983年~2005年11月まで)、PsycINFO(1974年~2005年11月まで)およびFirst Search(1966年~2005年11月まで)を検索した。関連論文について参考文献リストを入念に調べた。また、機器製造業者および販売業者に問い合わせた。

選択基準: 

脳卒中患者の運動機能回復についてEMG-BFBと対照とを比較したランダム化研究および準ランダム化研究。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが別々に試験の質および抽出データを独立して評価した。可能な場合は、さらに詳細な情報を得るために研究著者に問い合わせた。報告された有害作用はすべて書き留めた。

主な結果: 

269例を含む13件の試験があった。すべての試験は、EMG-BFBプラス標準的な理学療法を、標準的な理学療法単独または標準的な理学療法プラス擬似EMG-BFBを比較したものであった。患者評価に運動強度評価尺度を用いた研究は1件しかなく、EMG-BFBの利益が示された(加重平均差1.09、95% CI0.48~1.70)。EMG-BFBは足関節(標準化平均差(SMD)0.05、95% CI-0.36~0.46)、膝関節および手関節の関節可動域(ROM)の改善について有意な利益はなかった。しかし、肩関節のROMにおける利益を示唆した研究が1件あった(SMD0.88、95% CI0.07~1.70)。ストライド(一歩)長または歩行速度の変化はEMG-BFBによって改善しなかった。2件の研究は歩行の質を定量化するために異なる評価尺度を用いていた。このうちの1件はEMG-BFBの有益な効果を示唆した(SMD0.90、95% CI0.01~1.78)。これらの研究の多くは、それぞれ異なる評価尺度を用いて機能的アウトカムを検討していたために、メタアナリシスは行うことができなかった。同一の尺度を用いた2件の研究から、有益な効果が示された(SMD0.69、95% CI0.15~1.23)。

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