子癇前症を予防するための利尿薬

著者の結論: 

子癇前症とその合併症の予防に対する利尿薬の効果について信頼できる結論を導くにはエビデンスは不十分である。しかしこのレビューから子癇前症を予防するための利尿薬の使用から明らかな有益性は見出されなかった。認められた有害作用のレベルと合わせ考えると、子癇前症とその合併症予防のための利尿薬の使用は推奨できない。

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背景: 

利尿薬は妊娠していない人においては血圧を低下させ浮腫を軽減するために用いられる。以前は、子癇前症の発症を予防するか遅らせる目的で妊娠中に用いられた。この治療は、子癇前症のある女性において血漿量をさらに減じることによって、母子、特に胎児成長に対する有害作用のリスクを高める可能性があるという懸念が生じた時に論争を呼んだ。

目的: 

子癇前症とその合併症予防に対する利尿薬の効果を評価する。

検索戦略: 

Cochrane Pregnancy and Childbirth Group's Trials Registerを検索した(2010年5月)。

選択基準: 

子癇前症とその合併症を予防するための利尿薬の効果を評価しているランダム化試験。

データ収集と分析: 

3人のレビューアが独自に試験への組み入れを選択し、データを抽出した。データを解析し、ダブルチェックを行い、正確さを期した。

主な結果: 

5件の研究(1836例の女性)を選択した。すべての研究は質が不確かであった。これらの研究はチアジド系利尿薬とプラセボまたは無介入を比較していた。子癇前症を含む報告されたあらゆる妊娠アウトカムに、利尿薬群とコントロール群の間で明らかな差はなかった(4件の試験、1391例の女性;リスク比(RR)0.68、95%信頼区間(CI)0.45~1.03)、周産期死亡(5件の試験、1836例の女性;RR 0.72、95%CI 0.40~1.27)、早期産(2件の試験、465例の女性;RR 0.67、95%CI 0.32~1.41)。在胎期間に比して低体重児を報告した1件の試験にSGAはなく、出生体重に対して2群間で明らかな差を示すにはエビデンスは不十分であった(1件の試験、20例の女性;平均差139g、95%CI -484.40~762.40)。チアジド系利尿薬は悪心・嘔吐のリスクを高め(2件の試験、1217例の女性;RR 5.81、95%CI 1.04~32.46)、利尿薬に割り付けられた女性は、プラセボに割り付けられた女性と比較して、副作用のため治療を中止する割合が高い傾向にあった(2件の試験、1217例の女性;RR 1.85、95%CI 0.81~4.22)。

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