高血圧症に対する治療血圧目標

著者の結論: 

患者を標準のBP目標値(≦140~160/90~100mmHg)よりも低い目標値まで治療する試みによって、死亡率および罹病率を低下させることはなかった。ガイドラインでは糖尿病および慢性腎疾患に対してさらに低い目標値が推奨されていることから、現在、これらの患者群を対象にシステマティックなレビューが進行中である。

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背景: 

高血圧の治療に際して、医師は達成すべき血圧(BP)目標について認識する必要がある。これまでの診療での標準は≦140~160/90~100mmHgであった。新たなガイドラインではこの標準値よりも低いBP目標値が推奨されている。標準値よりも低い目標値を達成させる試みが、死亡率および罹病率を低下させるかどうかは不明である。

目的: 

標準BP目標値(≦140~160/90~100mmHg)と比較して、それよりも低いBP目標値(≦135/85mmHg)は死亡率および罹病率を低下させるかどうかを明らかにする。

検索方法: 

MEDLINE(1966~2008)、EMBASE(1980~2008)およびCENTRAL(2008年6月まで)、レビュー論文の参考文献、臨床ガイドライン、ならびに臨床試験の電子検索

選択基準: 

標準よりも低いBP目標値または標準のBP目標値のいずれかにランダム化された患者を比較しており、以下の主要アウトカムのいずれかに関するデータを提供しているランダム化比較試験

データ収集と分析: 

レビューア2名(JAA、MIP)が独自に組み入れた試験およびデータの入力を評価した。主要アウトカムは総死亡率、すべての重篤な有害事象、すべての心血管事象、心筋梗塞、脳卒中、うっ血性心不全、末期腎疾患であった。副次的アウトカムは、達成された平均収縮期および拡張期BPならびに有害事象による試験中止であった。

主な結果: 

種々の収縮期BP目標値を比較している試験は見出せなかった。種々の拡張期BP目標値を比較している試験7件(参加者22,089例)を含めた。「標準目標値」ではなく「それよりも低い目標値」を達成する試みは、収縮期/拡張期BPで-4/-3mmHgを上回る低下を達成したにもかかわらず(p<0.001)、総死亡率(RR 0.92、95%CI 0.86~1.15)、心筋梗塞(RR 0.90、95%CI 0.74~1.09)、脳卒中(RR 0.99、95%CI 0.79~1.25)、うっ血性心不全(RR 0.88、95%CI 0.59~1.32)、主な心血管事象(RR 0.94、95%CI 0.83~1.07)、末期腎疾患(RR 1.01、95%CI 0.81~1.27)に変化はなかった。7試験中6試験であらゆる重篤な有害事象および有害事象による試験中止に関する情報がなかったため、標準よりも低い目標値の健康へ正味の影響を十分に評価することはできない。糖尿病患者および慢性腎疾患患者を対象とした感度分析でも、標準目標値と比較して、それよりも低い目標値による死亡率および罹病率のアウトカムの低下は見出せなかった。

訳注: 

監  訳: 相原 守夫,2009.11.16

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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