慢性足関節外側不安定症は、手術の実施に関わらず治療できる可能性がある。

陳旧性足関節靭帯損傷は一般的に急性外側足首捻挫後に認められる。初期治療では保存療法とし、装具または神経筋のトレーニングのいずれかを用いた。しかし、症状が持続し、足関節外側の靭帯が伸張または裂離した場合、通常は手術を検討する。

3件の試験では、神経筋のトレーニングを実施した患者とトレーニングを実施しなかった患者とを比較した。これらの試験デザイン、実施および報告に制限があることから、試験結果が妥当であるか確認が困難である。

3件の試験では、神経筋のトレーニングを実施した患者とトレーニングを実施しなかった患者とを比較した。これらの試験から、神経筋のトレーニングプログラムが機能的安定性において短期的な改善が得られると考えられることが明らかとなった。特別な自転車用ペダルの使用を試験する1件の試験から、重要な機能のが生じるものではないことが明らかとなった。しかし、これら4件の試験は、治療終了後にいずれも患者のフォローアップを実施していない。

4件の試験では種類の異なる外科的インターベンションを比較した。慢性足関節不安定症を治療するための特定の外科的手技を強く支持するにはエビデンスは不十分であった。2件の試験から、外科的再建術後に、早期授動術によるリハビリテーションは6週間の固定法と比較し、患者の早期職場復帰や早期運動再開が可能となったことが明らかとなった。

著者の結論: 

神経筋のトレーニングのみでは、短期間では有効であると考えられるが、この有用性が長期間フォローアップで持続するか不明である。慢性足関節不安定症に対して、外科的インターベンションのなかで有効性を支持できる特定の外科的インターベンションがあることを示すエビデンスは十分ではなく、動的腱固定術の使用には制限がある可能性が高い。外科的再建術後、早期機能の回復について、早期授動術によるリハビリテーションは6週間の固定術より優れていると考えられる。

アブストラクト全文を閲覧
背景: 

急性足首捻挫後の10%~20%で慢性足関節外側不安定症が生じる。初回治療は保存的な手法を用いるが、効果が得られず靱帯の弛緩が認められる場合は、外科的インターベンションを検討する。

目的: 

慢性足関節外側不安定症に対して各種保存的/外科的治療法を比較する。

検索方法: 

2010年2月までのCochrane Bone, Joint and Muscle Trauma Group Specialised Register、Cochrane Central Register of Controlled Trials、MEDLINE、EMBASE、CINAHLおよび論文の参考文献一覧をすべて検索した。

選択基準: 

慢性足関節外側不安定症のインターベンションに関するランダム化比較試験および準ランダム化比較試験として確認された試験のすべてを対象とした。

データ収集と分析: 

研究より抽出したデータについて、2名のレビューアが別個にバイアスのリスクを評価した。適宜、同様の試験で得られた結果を統合した。

主な結果: 

10件のランダム化比較試験を対象とした。これらの試験のデザイン、実施、報告に制限が認められたことから、割付けの隠蔽化、評価者の盲検性、試験結果が不完全で選択的に報告されたことによりバイアス評価結果が不明確または高リスクとなった。限定的なデータ統合のみが可能であった。

4件の試験で評価した保存的治療法は、神経筋のトレーニングを基本とした療法であった。神経筋のトレーニングの有無で比較したところ、4週間のトレーニング終了後に足関節機能スコアの改善がみられた(足関節機能評価指標:AJFAT):平均差(MD):3.00、95% CI:0.3~5.70、1試験試験参加者:19名、足・足関節機能障害指標(FADI)データ:MD:8.83、95% CI:4.46~13.20、2試験試験参加者56名)。4件目の試験試験参加者19名)では、二方向ペダル式自転車エルゴメータと従来の一方法ペダル式を比較した6週間のトレーニングプログラム後、機能の結果に有意は認められなかった。更に長い期間のフォローアップデータは、これら4件の試験では得られていない。

4件の試験で、慢性足関節不安定症の外科手術について比較した。1件の試験試験参加者40名)では、腱固定後のほうが解剖学的再建術と比較し神経への障害が多く認められた(リスク比(RR)5.50、95% CI:1.39~21.71)。動的腱固定術と静的腱固定術を比較した1件の試験試験参加者99名)で、動的腱固定術に割り付けた患者17名では腱が薄すぎたために除外した。同じ試験では、動的腱固定術により機能不全の人数が多くなったことが明らかになった(RR:8.62、95% CI:1.97~37.77、試験参加者82名)。足関節外側靭帯再建術について比較した1件の試験試験参加者60名)では、再挿入術を使用することで鱗状重層法よりも手術時間が短くなることが明らかとなった(MD:-9.00分、95% CI:-13.48~-4.52)。2件の試験試験参加者70名)では、手術後における機能的な関節授動術と固定術とを比較した。これらの試験から、初期関節授動術によって、運動(MD:-3.00週、95% CI:-4.49~-1.51、1試験)や、職場復帰(MD:-2.00週、95% CI:-3.06~-0.94、1試験)が早期に可能となったことが明らかとなった。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.2.1]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。
 CD004124 Pub3

Tools
Information
Share/Save