高血圧を薬で治療し、将来の認知症や記憶力・思考力の低下を防ぐ

なぜこのレビューが重要なのか?

高血圧は、その後の認知症や記憶・思考の新たな問題(認知機能障害)との関連が示唆されており、長年にわたって被験者を追跡した観察研究が行われている。高血圧を治療することで、認知症や記憶・思考の問題のリスクを軽減できるかどうかを確立することが重要である。脳卒中後の高血圧治療を支持する明確なエビデンスがすでにある。脳卒中を発症していない場合の高血圧治療のエビデンスは、このレビュープロトコルが書かれた時点ではそれほど確立されていなかった。

レビューの主な結果

今回のレビューでは、12件の試験、合計30,412人の参加者を対象とした。高血圧を薬で治療することで、認知症や記憶・思考の問題のリスクを減らすことができるかもしれないが、入手可能なデータを用いて確認することはできなかった。これは、入手可能なエビデンスが不十分であるためと思われる。

参加者の中には、転倒などの薬の副作用が出て、薬をやめることになった人もいた。これも重要な検討事項である。

本レビューの限界

高血圧を薬で治療することで、将来の認知症や記憶力・思考力の低下を防ぐことができることを確認するエビデンスは見つからなかった。入手可能なエビデンスに基づいて言えることは、私たちが調べた研究で用いられた方法は、研究課題に答えるのに十分ではなかったということである。実際には、中年期に高血圧を治療することで、後年の認知症や記憶・思考の問題が減少するかどうかを知りたい。短期間の研究であるため、副作用を評価することはできなかった。心筋梗塞や脳卒中を評価項目として調査し、記憶力や思考力のテストを追加するように設計されているため、質問に確実に答えるために必要な記憶力や思考力に問題のある人の数が少ない傾向にあった。有効成分とプラセボ(不活性成分)を比較した研究では、プラセボ群の多くの人が最終的に有効成分を投与されており、結果はさらに複雑になっていた。

降圧治療は、このレビューの結果にもかかわらず、記憶や思考に関する新たな問題、あるいは認知症、あるいはその両方を予防する可能性がある。結論をより確かなものにするためには、治療群とプラセボ群をより明確にし、より若い年齢層から参加者を治療し、より長い追跡調査を行う研究が必要である。

訳注: 

《実施組織》 阪野正大、冨成麻帆 翻訳[2021.06.02]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD004034.pub4》

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