閉経後女性を対象とした進行乳癌の治療のためのアロマターゼ阻害薬

著者の結論: 

進行(転移性)乳癌の女性に対して現在臨床で使用されているものを含むアロマターゼ阻害薬には、他の内分泌療法と比較して、生存上の利益があることが示されている。

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背景: 

エストロゲンによる乳癌細胞への影響は内分泌療法によって除去できることから、タモキシフェン、酢酸メゲストロール、酢酸メドロキシプロゲステロンなどのホルモン療法が長年、進行乳癌に使用されている。アロマターゼ阻害薬(AI)は末梢組織でエストロゲン合成を阻害し、他の内分泌療法と同じ様に腫瘍退縮効果を示す。アミノグルテチミドは、臨床的に使用された最初のAIであった。今では第3世代のAIであるアナストロゾール、エキセメスタンおよびレトロゾールが使用されている。これらの薬剤の奏効率および副作用に関するランダム化試験からのエビデンスは依然として限られている。

目的: 

閉経後女性を対象とした進行乳癌の治療においてAIをその他の内分泌療法と比較する。

検索方法: 

今回の改訂のために、Cochrane Breast Cancer Group Specialised Register and the Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)および関連性のある学会予稿集を検索した(2008年6月30日まで)。

選択基準: 

閉経後の女性を対象とした進行(転移性)乳癌の治療においてAIの効果を、その他の内分泌療法、無内分泌療法または異なるAIと比較したランダム化比較試験。英語以外の言語での発表、異なる用量の同AIの比較、ネオアジュバント療法として使用されたAI、または腫瘍反応に関連しないアウトカムは除外した。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが発表済みの試験からデータを独立に抽出し、第3のレビューアがクロスチェックした。イベント・アウトカムに至るまでの期間(全生存期間および無増悪生存期間)の解析についてハザード比(HR)を引き出した。客観的奏効、臨床的利益、毒性については、オッズ比(OR)を引き出した。

主な結果: 

37件の試験を同定した。このうちの31件が、AIとその他の治療を比較している主要解析に含まれた(女性11,403例)。不適切な割り付けの隠蔽化のために除外された試験はいずれもなかった。統合した推定値から、他の内分泌療法を超える有意な生存上の利益がAI治療に示された(HR 0.90、95%CI 0.84~0.97)。一般的に処方されている3種類のAI(アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール)のサブグループ解析でも、同様の生存上の利益が示された(HR 0.88、95%CI 0.80~0.96)。ひとつのAIを別の異なるAIと比較していたデータは非常に限られていたが、これらはアナストロゾールを上回る利益がレトロゾールにあることを示唆した。AIは、他の内分泌療法とは異なる毒性プロファイルを有する。現在処方されているAIについて、またすべてのAIについては、顔面潮紅および関節痛が同レベルでみられ、また発疹、悪心、下痢および嘔吐のリスクが増加したが、他の内分泌療法と比較して腟出血リスクは71%低下し、血栓塞栓イベントは47%減少した。

訳注: 

監  訳: 尹 忠秀,2010.2.10

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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