急性膵炎における膵壊死の感染予防のための抗菌療法

著者の結論: 

イミペネム(β-ラクタム系抗菌薬)を単独で投与した場合(膵感染症の有意な減少が認められた)を除いて、膵壊死感染または死亡を予防するのに抗菌薬の有益性は認められなかった。本レビューに選択された研究のいずれもが十分な検出力を有していなかった。抗菌薬の予防投与の使用を勧告しようとするなら、より良くデザインされた研究が更に必要である。

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背景: 

膵壊死は重症急性膵炎に合併することがあり、コンピュータ断層撮影(CT)法により検出可能である。感染を生じると、死亡率が上昇するが、抗菌薬の予防的使用は抗菌薬耐性や真菌感染症についての懸念を生じる。

目的: 

CTで証明された壊死を合併する急性膵炎における抗菌薬予防的投与の有効性と安全性を確定する。

検索方法: 

コクラン・ライブラリ(2008年第2号)、MEDLINE、EMBASE、CINAHLに対して、2008年11月に検索を更新した。会議の議事録や同定論文からの参考文献も検索した。

選択基準: 

CTで証明された膵壊死を伴う急性膵炎を対象に抗菌薬とプラセボを比較しているランダム化比較試験(RCT)

データ収集と分析: 

主要アウトカムは死亡率と膵感染率であった。副次的エンドポイントは非膵感染症、全感染症、手術率、真菌感染、抗菌薬耐性などであった。サブグループ解析を抗菌薬レジメン(β-ラクタム系、キノロン系、イミペネム)に対して行った。

主な結果: 

7件の評価可能な研究があり、404例の患者をランダム化した。治療による死亡率低下(8.4%対コントロール群14.4%)、および感染性膵壊死の発生率低下(19.7%対コントロール群24.4%)に対する統計学的に有意な効果はなかった。非膵感染症発生率と全感染症発生率は抗菌薬により有意な低下を生じなかった(それぞれ23.7%対36%;37.5%対51.9%)。手術的治療や真菌感染は有意を生じなかった。抗菌薬耐性に関しては十分なデータが提供されなかった。β-ラクタム系抗菌薬の予防投与により、死亡率が低下し(治療群9.4%、コントロール群15%)、感染性膵壊死も減少したが(治療群16.8%、コントロール群24.2%)、これは統計学的に有意ではなかった。非膵感染症の発生に有意はなく(21%対32.5%)、全感染症の発生(34.4%対52.8%)や手術的治療発生率にも有意はなかった。評価されたエンドポイントのいずれにおいてもキノリン+イミダゾールによる有意は認められなかった。イミペネムそのものは死亡率にを示さなかったが、膵感染症発生率は有意に低下した(p=0.02;RR 0.34、95%CI 0.13~0.84)。

訳注: 

監  訳: 柴田 実,2011.3.1

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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