女性尿失禁に対する開腹恥骨後式腟固定術

レビューの重要性/背景

腹圧性尿失禁では、咳をしたり、笑ったり、くしゃみをしたり、運動をしたりすると尿が漏れてしまう。膀胱を支えている筋肉や靭帯の変化によって起こる。混合性尿失禁では、咳をした時や笑った時だけでなく、排尿したいという衝動がある時にも我慢ができず尿が漏れることがある。骨盤底筋群体操による筋力増強は症状改善に役立つかもしれない。また、支持力を改善したり、尿失禁を治すための外科手術がある。腹圧性尿失禁の管理に、女性とその家族の収入の少なくない額が費やされている。開腹恥骨後式腟断端固定術は、膀胱と尿道の接合部周辺の組織を持ち上げる手術である。

主な結果

試験のレビューでは、女性の腹圧性・混合性尿失禁に効果的な手術法であり、ほとんどの女性に長期的な治癒をもたらすことがわかった。それは、前腟壁縫合術(腹側の腟壁を縫い縮める手術)や針式膀胱頚部挙上術(尿道の両側に針を通して縫合して、周囲の組織を持ち上げる手術:Stamey法など)より治癒率が高い。新たな術式、特に中部尿道スリング手術(尿道を持ち上げるためにテープを用いる手術:TVTやTOT)と腹腔鏡下仙骨腟固定術は、期待できる術式であるが、さらなる研究が(特に長期的な予後について)必要である。尿道下にテープを通す手術は、開腹による腟固定術に比べて中長期的に治癒率が高いことが示された。費用の面では、非系統的な医療経済学的レビューにおいて、開腹恥骨後式腟断端固定術は腹腔鏡下腟固定術よりも安価であるが、TVTよりも高価であることが示唆された。

有害事象

腹腔鏡下腟固定術は、開腹による腟固定術に比べて回復が早いのが特徴である。開腹恥骨後式腟固定術は、術後に骨盤内臓器脱がより起こりやすいことが示されたが、他の手術法と比較して合併症率が高いという研究結果はなかった。排尿障害は中部尿道スリング手術に比べて開腹恥骨後式腟固定術の方が低頻度であった。

レビューの限界

開腹恥骨後式腟固定術の長期的な有害事象とその生活の質への影響については、限られた情報しか得られていなかった。

訳注: 

《実施組織》杉山伸子 小林絵里子 翻訳[2020.10.08]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD002912.pub7》

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