矯正治療後の歯の正しい位置を維持するためには、どのような方法が良いか?

レビューの論点

歯列矯正の治療終了後、新しい歯の位置を維持するのに最も効果的な方法はどれか?

背景

歯列矯正を終えると、歯は再び元の位置にむかってずれてくる傾向がある。矯正歯科医は、さまざまな保定方法を用いてこれを予防する。保定処置には、歯の上や周りに装着したり、歯の裏側に貼り付けたりするリテーナーを装着する方法と、「補助的な処置(adjunctive procedures)」と呼ばれる方法がある。補助的な処置とは、歯と歯が接触する部分の形を変えるか、歯肉と歯の根本の接続部を切断する非常に小さな処置である。

研究の特性

科学データベースを検索し、2016年1月26日までのすべての新しいエビデンスを検索した。本レビューは、2006年に公開された前回のレビューを更新したものである。固定式および取り外し式における異なる種類のリテーナーと、異なる装着期間を比較した15件の研究を特定した。参加者は成人と子どもを合わせて1,722名であった。9件の研究は病院や大学で行われ、5件は専門医の診療所で行われ、1件は国民健康サービスの診療所で行われた。

それらの研究では次の4つの比較を評価した:取り外し式リテーナーと固定式リテーナーの比較(3件)、異なるタイプの固定式リテーナーの比較(4件)、異なるタイプの取り外し式リテーナーの比較(8件)、そして、取り外し式リテーナーと固定式リテーナー、補助的な処置とポジショナーの使用を組み合わせて比較した研究が1件あった。

また、進行中の研究が4件、本レビューに含めるがどうかの分類待ちの研究が4件見つかった。

主な結果

ほとんどのエビデンスの質は低かった。熱で変形する素材のリテーナーを常に装着する場合と部分的に装着する場合を比較した小規模ながらも良く実施された1件の研究では、安定性の違いがあるというエビデンスは得られなかった(中程度の質のエビデンス)。

エビデンスの質

どのような保定処置を推奨するかについては、十分に質の高いエビデンスがない。今後さらに質の高い研究が必要である。

訳注: 

《実施組織》屋島佳典 翻訳、堺琴美 監訳[2022.1.16]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD002283.pub4》

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