超低出生体重早産児の慢性肺疾患予防のための吸入副腎皮質ステロイドの早期投与

レビューの論点
出生後 2 週間以内の出生体重 1500 グラムまでの早産児に吸入副腎皮質ステロイドを投与することで、修正週数在胎 36 週(以降修正36週)時点における補助酸素の必要量に反映される慢性肺疾患が予防されるか?

背景
呼吸のサポートを必要とする早産児は、しばしば慢性肺疾患を発症する。肺の炎症が原因の一部と考えられている。副腎皮質ステロイドを経口または静脈から投与すると、この炎症を抑えることができる。しかし、副腎皮質ステロイドの使用は、脳性麻痺(運動障害)や発達遅滞などの重大な副作用を伴う。ステロイドを吸入することで、薬剤が直接肺に届くようになり、副作用が軽減される可能性がある。このレビューでは、早産児が呼吸補助を受けている間に吸入でステロイドとプラセボ(不活性薬)を投与された場合の比較を行った試験を調べた。吸入ステロイドを早期に投与することで慢性肺疾患が軽減するというエビデンスはこれまでなかった。

研究の特性
2016年1月5日に更新された文献検索で、1644人の乳児が登録された10件のランダム化比較試験が含まれていた。

研究の資金提供元
含まれた研究について、業界からの金銭的な支援は一切受けていなかった。

主な結果
今回のレビューのアップデートでは、修正36週時点における慢性肺疾患の発症率に有意な低下は見られなかった。ランダム化されたすべての新生児および生存者において、修正36週時点における死亡または慢性肺疾患の複合転帰で有意な減少が認められた。結果が有意であったにもかかわらず、信頼区間の上限は無限大であった(すなわち、修正36週時点で1人の赤ちゃんの死亡や、慢性肺疾患の発症を防ぐためには、すべての赤ちゃんに吸入ステロイドを投与しなければならないことになる)。これは臨床現場では受け入れられないだろう。ある大規模な研究では、対照群に比べてステロイド群では再挿管率(気道へのチューブ挿入の必要性)が低かったことが指摘されている。短期・長期の合併症については、群間で統計学的に有意なは認められなかった。1つの大規模研究の長期追跡調査の結果が待たれる。

エビデンスの質
全般的に研究の質は低かった。

訳注: 

《実施組織》 小林絵里子、阪野正大 翻訳[2020.10.14]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD001969.pub4》

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