老人性白内障に対する外科的介入

著者の結論: 

本レビューから、超音波水晶体乳化吸引術は縫合を伴うECCEよりもアウトカムがすぐれているとする7件のRCTに基づくエビデンスが得られた。また、ECCE後に後房レンズを移植するとICCE後に無水晶体のまま眼鏡を使うよりも視力成績がすぐれているとするエビデンスも確認した。後嚢混濁(PCO)の長期的な影響はさらに大きな集団で評価する必要がある。このデータはまた、ICCE後の前房レンズ移植はICCE後の無水晶眼の眼鏡使用に代わる効果的な選択肢であることを示唆しており、安全性は変わらない。超音波水晶体乳化吸引術は視力成績が最もすぐれているが、超音波水晶体乳化吸引術とフォールダブルIOLのコストが下がらないと開発途上国では使えない。マニュアルの小切開白内障手術は早期に視力が回復し、視力成績はPHACOに匹敵する。ECCEよりも視力成績がよく、ECCE後にIOLを移植しているどのクリニックでも使うことができる。コストとPCOや角膜内皮細胞損傷などのこれらの術式の長期的なアウトカムを比較するには、開発途上国からのさらなる研究が必要である。

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背景: 

白内障は世界中で失明の50%を占め、手術成績の改善にもかかわらず世界のどの地域でも依然として視力低下の一番の原因である(WHO 2005)。この数字は高齢化人口と平均余命が延びたために上昇していることが予想される。白内障は予防することができるが、その外科的治療は医療において最も費用対効果の高い介入である。

目的: 

老人性白内障に対するさまざまな外科的介入の効果を比較する。

検索戦略: 

CENTRAL、MEDLINE、2006年7月までのEMBASE、NRRの2005年Issue 3、同定された試験の文献リストを検索し、この分野の研究者と専門家に発表および未発表の試験の詳細を問い合わせた。

選択基準: 

ランダム化比較試験(RCT)を本レビューに含めた。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが別々にデータを抽出し、不一致は話し合いにより解決した。必要に応じてリスク比、オッズ比および加重平均値の差を研究間の異質性を評価した後に要約した。

主な結果: 

合計9627例をランダム化した17件の試験を同定した。超音波水晶体乳化吸引術は水晶体嚢外摘出手術よりも視力成績にすぐれているが、1回の手術の平均コストは欧州では同じであっても開発途上国では同じではなかった。水晶体嚢外摘出手術後に後房レンズを移植した場合とICCE後に前房眼内レンズ(IOL)を移植した場合でも移植しない場合でも視力成績はいずれも満足のいくものであったが、水晶体嚢外摘出手術で合併症が少なかった。マニュアルの小切開手術はECCEよりも視力成績がすぐれていたが、超音波水晶体乳化吸引術に比べてやや裸眼視力が劣っていた。

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