脳卒中急性期に対するマンニトール

著者の結論: 

現時点では、脳卒中急性期患者におけるマンニトールのルーチン使用を支持するのに十分なエビデンスはない。マンニトールが脳卒中急性期において有益であるか否かについて確認または論駁するために、さらなる試験が必要である。

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背景: 

マンニトールは浸透圧薬であり、脳卒中における浮腫および組織損傷を軽減するフリーラジカルスカベンジャーである。

目的: 

マンニトール治療が虚血性脳卒中急性期または脳内出血(ICH)後の短期および長期の致死率および依存を軽減させるか否かを検討する。

検索方法: 

Cochrane Stroke Group Trials Register(2006年12月に検索)、MEDLINE(1966年~2007年1月)、Chinese Stroke Trials Register(2006年11月に検索)、China Biological Medicine Database(2006年12月に検索)およびLatin-American database LILACS(1982年~2006年12月)を検索した。また、Sao Paulo University の修士論文および博士論文のデータベース(2007年1月に検索)および1965年~2006年までのブラジルにおける脳神経内科学と脳神経外科学の学会大会予稿集も検索した。発表済み、進行中および未発表の研究をさらに同定するために、参照文献リストを検索し、発表済みの試験の著者に問い合わせた。

選択基準: 

虚血性脳卒中の急性期または非外傷性脳内出血の患者において、マンニトールをプラセボまたは非盲検コントロールと比較したランダム化比較試験を含めた。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが独立に試験を選択し、質を評価し、データを抽出し、データを解析した。

主な結果: 

参加者226例を対象とした3件の小規模試験が含まれた。1件の試験は、コンピュータ断層撮影法(CT)による確認を行わないで虚血性脳卒中と推定された患者を含んでいた。他の2件は、CTで確認されたICH患者を含んでいた。主要アウトカム指標(死亡および依存)に関するデータは、いずれの試験からも入手できなかった。規模の大きいICH試験において死亡および依存が算出可能であったが、マンニトール群とコントロール群との間にはなかった。虚血性脳卒中の試験では、症例の致死性は報告されていなかった。ICH試験において、マンニトール群とコントロール群との間で症例の致死性にはなかった。有害事象は認められなかったし、報告例もなかった。2件の試験で臨床状態の変化が報告されており、状態が悪化または状態が改善しない患者の割合はマンニトール治療患者群とコントロール群との間で有意はなかった。これら3件の試験に基づけば、マンニトールの有益作用も有害作用も証明できなかった。マンニトール治療群とコントロール群との間に有意は認められなかったが、治療効果推定値の信頼区間は広く、可能性として臨床的に有意な利益および臨床的に有意な害の両方が含まれた。

訳注: 

監  訳: 江川 賢一,2007.10.5

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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