子癇前症の女性に対する硫酸マグネシウムと他の抗けいれん薬の比較

著者の結論: 

硫酸マグネシウムは子癇のリスクを半分以上減じ、母体死亡をおそらく減じる。退院後のアウトカムに明らかな効果はない。4分の1の女性が硫酸マグネシウムによる副作用を報告した。

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背景: 

子癇(子癇前症と関連するけいれん発作の発生)は稀であるが生命を脅かす可能性がある。硫酸マグネシウムは子癇を治療するための選択薬である。本レビューは、子癇を予防するための硫酸マグネシウムの使用を評価する。

目的: 

子癇予防に対する硫酸マグネシウムや他の抗けいれん薬の効果を評価する。

検索戦略: 

Cochrane Pregnancy and Childbirth Group's Trials Register(2010年6月4日)、およびCochrane Central Register of Controlled Trials Register(コクラン・ライブラリ 2010年第3号)を検索した。

選択基準: 

子癇前症に対して抗けいれん薬と、プラセボか、抗けいれん薬無投与を比較しているランダム化試験、あるいは、様々な薬剤間の比較。

データ収集と分析: 

2人のレビューアが独自に試験の質を評価し、データを抽出した。

主な結果: 

15件の試験を選択した。6件(11,444例の女性)は硫酸マグネシウムと、プラセボか抗けいれん薬無投与を比較した。硫酸マグネシウムは子癇のリスクを半分以上低減し(リスク比(RR)0.41、95%信頼区間(CI)0.29~0.58;更なる有益アウトカムに対する治療必要数(NNTB)100例、95%CI 50~100)、母体死亡の有意に達しない減少をもたらしたが(RR 0.54、95%CI 0.26~1.10)、母体重篤合併症に明らかな差はなかった(RR 1.08、95%CI 0.89~1.32)。硫酸マグネシウムは胎盤早期剥離のリスクを低減し(RR 0.64、95%CI 0.50~0.83;NNTB 100、95%CI 50~1000)、帝王切開を増加させた(RR 1.05、95%CI 1.01~1.10)。死産や新生児死亡に明らかな差はなかった(RR 1.04、95%CI 0.93~1.15)。副作用、主に潮紅は、硫酸マグネシウムでより多く発現した(24% vs 5%;RR 5.26、95%CI 4.59~6.03;更なる有害アウトカムに対する治療必要数(NNTH)6、95%CI 5~6)。硫酸マグネシウムとプラセボを比較した1件の試験でフォローアップを報告した:3,375例の女性で、死亡(RR 1.79、95%CI 0.71~4.53)や子癇前症と関連する可能性のある合併症(RR 0.84、95%CI 0.55~1.26)に明らかな差はなかった(フォローアップ期間中央値26カ月);子宮内で曝露された小児3,283例で、死亡(RR 1.02、95%CI 0.57~1.84)や18カ月齢時点での神経感覚障害(RR 0.77、95%CI 0.38~1.58)に明らかな差はなかった。硫酸マグネシウムは、フェニトイン(3件の試験、2,291例の女性;RR 0.08、95%CI 0.01~0.60)やニモジピン(1件の試験、1,650例の女性;RR 0.33、95%CI 0.14~0.77)と比較して、子癇を減じた。

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