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外部パジェット病を有する女性に対するさまざまな治療法の比較

背景
外陰部の乳房外パジェット病は、皮膚にできる表皮内癌のまれなタイプである。閉経後の白人女性に多く発生する。上皮(臓器の表面または内面を覆う細胞層)内の病変であり、外陰部に、かゆみや痛みを伴いうる、白色や赤色のうろこ状の部分が生じる。診断は、診察および組織の生検によってなされる。異常細胞は、臨床的に異常と分かる範囲を超えて広がることが多いため、一部の研究では、皮膚科医が手術を実施するとき、その皮膚病変の一部を生検して凍結標本を作成し、病理医がパジェット病かどうか速やかに報告できるよう、術中迅速病理診断を行うことを提案している。その他の治療法として、イミキモドクリーム (自分でを塗布する外用剤) などの局所投薬、放射線療法、化学療法、光線力学療法(がんなどの疾患細胞を標的にして光感受性物質を投与し、その物質に光化学反応をもたらす光を照射することで標的細胞に毒性をもたらす治療法)、レーザー療法、またはこれらの治療法を併用する方法がある。治療にあたっては、過剰な治療をすることなく、目に見えない病変があれば取り除いて治せるか、が課題となっている。痛みや瘢痕、女性らしさが損なわれたとの喪失感など、根治的手術の長期にわたる合併症や弊害を避けることは、女性にとって非常に重要である。外科手術は依然として最も一般的な治療法であるが、病気を完全に取り除くのは困難である。再発もしばしばあり、繰り返し手術をして外陰部を切除しなくてはいけないこともある。本レビューの目的は、外陰パジェット病のさまざまな治療の利益と害を評価することである。

試験の特性
ランダム化比較試験(比較する治療をランダムに割り当てる試験)あるいは適切に設計された非ランダム化試験で、生検で外陰パジェット病と診断された18歳以上の女性を対象に、異なる治療方法を比較した試験を検索した。

主な結果とエビデンスの質
科学的データベースの検索、専門家への連絡を行い、635の関連しそうな記事のタイトルと抄録を特定し、チェックした。そして、これらのうち31の試験について全文を入手した。しかしながら、どの研究もこのレビューの包含基準を満たすものではなかった。いくつかの非ランダム化試験とそれらの詳細な記述的結果を見つけたが、これらの研究は質が低く、バイアスのリスクが高かった。したがって、現時点では、生存期間の延長、進行や再発を遅らせられるか、QOL(生活の質)の向上、毒性の最小化といった観点から、どの治療がよいか悪いかについて判断するエビデンスが存在しない。本レビューでは、外陰パジェット病の管理に関する介入を比較するために、質のよい研究が必要であるということを強調する。患者になりうる女性および臨床医は、この病気の外科的および非外科的管理の指針にとって必要なエビデンスが増えることを高く評価するだろう。特に、非侵襲的な医学的管理は、女性に手術による合併症やダメージを与えずに済むかもしれない。

訳注

《実施組織》杉山伸子、増澤祐子 翻訳[2019.7.18] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。  《CD009245》

Citation
Edey KA, Allan E, Murdoch JB, Cooper S, Bryant A. Interventions for the treatment of Paget's disease of the vulva. Cochrane Database of Systematic Reviews 2019, Issue 6. Art. No.: CD009245. DOI: 10.1002/14651858.CD009245.pub3.