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女性の尿失禁に対するバルキング剤の注入

腹圧性失禁とは、咳や笑い、くしゃみ、運動などをしたときに尿が漏れてしまうことである。腹圧性尿失禁の管理に、女性とその家族が費やしている費用は少なくない。通常、筋肉とその周りの組織は、膀胱の底部を支えるクッションとなり、尿道(膀胱から尿を体外に出すための通り道)を締める働きを持つ。この働きがうまくいかない場合に、尿道の周りにバルキング剤を注入して人工的なクッションを作ることができる。2,004人の女性を対象とした14件の試験のレビューでは、女性の腹圧性尿失禁の症状を軽減できるという限定的なエビデンスが得られた。手術などの他の治療方法の方が優れているかもしれない。女性自身の脂肪組織をバルキング剤として使用する場合、重大な合併症を引き起こす可能性がある。コスト面では、経済研究の簡単なレビューによると、初回治療として、あるいは最初に行った手術が失敗した後の治療として行った場合、コラーゲン注入は手術よりもコストが低いことが示唆された。

訳注

《実施組織》杉山伸子、阪野正大 翻訳 [2021.10.11]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD003881.pub4》

Citation
Kirchin V, Page T, Keegan PE, Atiemo KOM, Cody JD, McClinton S, Aluko P. Urethral injection therapy for urinary incontinence in women. Cochrane Database of Systematic Reviews 2017, Issue 7. Art. No.: CD003881. DOI: 10.1002/14651858.CD003881.pub4.