医療介入のランダム化試験の系統的レビューにおける結果と分析の選択的包含と報告によるバイアス

系統的レビューでは、複数の研究から得られた証拠をまとめて、特定の質問に答える(例えば、特定の健康状態のための特定の介入の利点や害は何か?)。多くの場合、系統的レビューの著者が研究の疑問を解決するために報告できるアウトカム(筋骨格系疾患を持つ患者の疼痛、障害、生活の質(QOL)など)や、特定のアウトカムに対して利用できる多くの異なる結果がある(例えば、研究では4つの時点で3つの異なる尺度を用いて疼痛を測定することがある)。系統的レビューでどのアウトカムを調査するかの決定が、対象となる研究のアウトカムの結果に基づいて行われる場合、バイアスが発生する可能性がある。一方、系統的レビューで報告する結果とそれらを報告する方法についての決定が結果に基づいている場合、これは系統的レビューのユーザーを誤解させる可能性がある。

この方法論のレビューは、系統的レビューにおける結果の包含と報告を検討した研究の知見をまとめたものである。2013年5月までに電子書誌データベースで索引付けされた研究を検索した。私たちは7つの研究を含め、系統的レビューで調査および報告された結果は、プロトコルと公開された系統的レビューの間でしばしば変更されることを発見した。また、これらの変更を行うかどうかの判断が、その結果に対する治療効果の統計的な説得力と関係しているかどうかは不明であることがわかった。この関係が存在するかどうかを確認するには、さらに調査が必要である。また、ある調査では、一部の系統的レビューでは、レビューの要約で最も重要な結果のすべてが報告されていないことがわかった。別の研究では、より統計的に説得力のある結果が他の結果よりも要約で完全に報告される可能性が高いことがわかった。私たちが含めた研究は、2009年以前に発表された系統的レビューに限定されていた。より最近の系統的レビューにおける結果の包含とアウトカムの報告を検討するためには、新しい研究が必要である。

訳注: 

《実施組織》阪野正大、井上円加 翻訳[2020.06.26]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《MR000035.pub2》

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