症状や診察でCOVID-19を正確に診断できるか?

COVID-19は、SARS-CoV-2ウイルスによる感染症である。COVID-19のほとんどの患者は軽度から中等度の呼吸器疾患を生じ、一部の人はCOVID-19肺炎のような重度の疾患を経験する。正式な診断には、鼻や喉から採取した検体の検査室での分析や、CTスキャンのような画像検査が必要である。しかし、診断情報としては、臨床検査による症状や徴候からの情報が第一であり、最も入手しやすい情報である。症状や兆候による初期診断が正確であれば、時間のかかる専門的な診断検査の必要性が減少する。

症状は患者が経験するものである。軽度のCOVID-19の患者は、咳、喉の痛み、高熱、下痢、頭痛、筋肉や関節の痛み、倦怠感、嗅覚や味覚の喪失などを経験することがある。COVID-19肺炎の症状としては、息切れ、食欲不振、錯乱、胸部の痛みや圧迫感、高熱(38℃以上)などがある。

徴候は臨床検査で評価され、肺音、血圧、心拍数などがある。

多くの場合、症状が軽い人は、初期診断のためにかかりつけ医(プライマリ・ケア医)の外来に受診する。症状が重い人は、病院の外来や救急外来を受診するかもしれない。症状や徴候に応じて、患者は自宅で隔離されたり、さらなる検査を受けたり、入院したりすることもある。

なぜ正確な診断重要なのか?

正確な診断は、人々が迅速に正しい治療を受けることを保証し、不必要に検査されたり、治療されたり、隔離されたりせず、COVID-19を広める危険性がないことを保証する。これは個人にとって重要なことであり、時間と資源の節約になる。

私たちは何を知りたかったのか?

診察で得られた症状や徴候をもとに、COVID-19とCOVID-19肺炎の診断が、プライマリ・ケアや病院でどの程度正確に行われているのかを知りたかった。

実施したこと

軽度のCOVID-19感染症とCOVID-19肺炎を診断するために、症状やサインの精度を評価する研究を検索した。研究には、COVID-19の可能性がある人、またはCOVID-19に罹患していることが分かっている人、罹患していないことが分かっている人が含まれる可能性がある。研究はプライマリ・ケアまたは病院の外来でのみ行われ、COVID-19の可能性のある症状または徴候を有する少なくとも10人の参加者を含むものとした。

対象とした試験

7706人の参加者から16件の関連研究が見つかった。研究では27の個別の徴候と症状を評価したが、徴候と症状の組み合わせを評価したものはなかった。7件は病院の外来診療所(2172名)、4件は救急科(1401名)で実施されていたが、プライマリ・ケアの現場では実施されていなかった。子どもを含む研究はなく、高齢者に対象を絞った研究は1件のみであった。すべての研究で、最も正確な検査でCOVID-19の診断が確認された。

主な結果

軽度から中等度のCOVID-19とCOVID-19肺炎を明確に区別した研究はなかったので、両方の疾患についての結果を一緒に提示する。

その結果、COVID-19に罹患した参加者の少なくとも半数に咳、咽頭痛、高熱、筋肉や関節の痛み、倦怠感、頭痛などの症状が見られた。しかし、咳や喉の痛みはCOVID-19に罹患していない人にも多かったので、これらの症状だけではCOVID-19の診断にはあまり参考にならない。高熱、筋肉または関節の痛み、疲労、および頭痛が存在する場合、COVID-19感染症の可能性が大幅に増加する。

結果の信頼性は?

個々の症状や兆候の正確さは、研究によって大きく異なる。さらに、これらの研究では、症状や徴候に基づく検査の精度が不確かとなるような方法で参加者が選択されている。

結論

すべての研究は病院の外来で行われたため、結果はプライマリ・ケアの状況を代表するものではない。小児や高齢者には特に当てはまらず、軽度のCOVID-19とCOVID-19肺炎を明確に区別することはできない。

その結果、このレビューに含まれる単一の症状または徴候は、COVID-19感染症を正確に診断することができないことを示唆している。医師は複数の症状や徴候に基づいて診断を行うが、研究ではこのような臨床の側面は反映されていなかった。

症状と徴候の組み合わせ、嗅覚の喪失などのより特異的な症状、およびプライマリ・ケアのセッティングや小児および高齢者を対象とした選択されていない集団を調査するためには、さらなる研究が必要である。

本レビューの更新状況

レビュー執筆者は、2020年1月から4月までに発表された研究を検索した。

訳注: 

《実施組織》 阪野正大 翻訳、井村春樹 監訳 [2020.7.8] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。 なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review、Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD013665》

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