COVID-19の診断における胸部画像の精度は?

なぜこの論点が重要か?

COVID-19の疑いがある人は、自主隔離したり、治療を受けたり、濃厚接触した人に知らせたりするために、感染しているかどうかを迅速に知る必要がある。現在、COVID-19の確定診断には血液または鼻咽頭サンプルの検査室における検査が必要とされている。RT-PCRと呼ばれる検査室で行われる検査は専用の機器を必要とし、結果が出るまでに通常は少なくとも24時間が必要である。さらに、RT-PCRの正確さは完全ではなく、診断を裏付けるために2回目のRT-PCRまたは別の検査が必要になることがある。

COVID-19は呼吸器感染症である。具体的には、COVID-19の感染者は咳が出たり、呼吸困難になったり、重度の場合はCOVID-19肺炎を起こすことがある。臨床医は、例えばRT-PCR検査の結果待ちの場合や、RT-PCR検査の結果が陰性でCOVID-19の症状がある場合には、胸部画像検査を用いてCOVID-19の診断を行う。

この研究の目的は、感染が確認された者や感染が疑われる者のCOVID-19の診断において、胸部画像がどれだけ正確なのかを調査することである。

胸部画像検査とは?

レントゲンやCTや超音波などの体内をスキャンする装置は、胸部の臓器や構造物(心臓、肺、気道)の画像が得られる。また、閉塞、炎症、体液貯留も検知することも可能である。

- レントゲン(X線画像検査)は少量の放射線を利用して2次元の画像を作成する。- 通常、病院内では放射線技師が固定された機器を使用して検査を行うが、携帯型の機器を使用して行うこともある。

- コンピュータ断層撮影(CT)スキャンでは、異なる角度から撮影した複数のX線画像をコンピュータで統合して2次元画像を作成し、3次元画像に変換することができる。これらの検査は非常に特殊な機器を必要とし、専門の放射線技師によって院内で実施される。

- 超音波検査では、高周波の音波を利用して画像を作成する。超音波検査は病院や、診察室やクリニックなどの他の医療現場でも実施することができる。

実施したこと

COVID-19の診断における胸部画像診断精度を評価している研究を検索した。研究には、RT-PCRまたは他の検査の結果に基づいてCOVID-19が疑われる人、または確認された人が含まれる可能性がある。いかなるデザインの研究も含まれる可能性があり、研究の実施場所は限定されない。

わかったこと

合計で8279人を対象とした、84件の研究を特定した。これらの研究には、COVID-19の診断が確定した人のみを対象とした研究(71件の研究、6331人が参加)と、COVID-19が疑われる人と診断が確定した人の両方を対象とした研究(13件の研究、1948人が参加)が含まれる。感染の有無は主にRT-PCRで確定されていた。

多くの研究が胸部CTを評価したものである。世界中の研究が特定された。うち、78件の研究がアジアで行われたものであった。

感染が確認された人のCOVID-19診断における胸部画像診断精度

胸部CTでは平均で、COVID-19の感染が確認された人の93%(65件の研究、5759人)で感染が正しく識別された。胸部X線検査では、COVID-19への感染が確認された人の82%(9件の研究、682人)で感染が正しく識別された。肺の超音波検査では、COVID-19への感染が確認された人の100%(2件の研究、32人)で感染が正しく識別された。

感染が疑われる・確認された人のCOVID-19診断における胸部画像診断精度

胸部CTでは平均で、COVID-19に感染していた86%(13件の研究、2346人)の人が感染が正しく識別された。しかし、COVID-19に感染していない82%の人に対し、誤った識別がなされた。肺の超音波検査のデータを報告した研究は確認できなかった。

結果の信頼性は?

研究では、COVID-19の診断をどのように確認したか、参加者をどのように募集したか、ということに関して限られた情報しか報告されていない。また、組み入れられた研究が常に頑健な研究手法を使用していたとは限らない。ほとんどの研究ではCOVID-19の診断が確定した人のみを対象としているため、感染していない人の胸部画像検査でCOVID-19を除外する能力についての情報はほとんど存在しない。また、これらの研究は、研究結果に影響を与えた可能性があるすでに存在していた呼吸器疾患について報告していない。最後に、研究の25%はプレプリントとして発表され、掲載された論文のような厳密なチェックは受けていない。我々は、このレビューに含まれる研究の結果に基づいて確信を持って結論を出すことはできない。

結論

これらのエビデンスから、胸部CTや胸部X線は、別の検査でCOVID-19の感染が診断された人のCOVID-19の診断を裏付ける上で有効な検査である可能性が示唆された。しかし、COVID-19が疑われるだけの人を対象とした場合、CTスキャンの方が感染の裏付け・除外の精度が低い可能性がある。

本レビューの筆者らは、今後も研究が増えるにつれて定期的にレビューを更新していく予定である。

レビューの更新状況

本レビューのエビデンスは2020年5月現在のものである。

訳注: 

《実施組織》森岡敬一朗 翻訳、井村春樹 監訳[2020.10.07]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD013639.pub.2》

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