ケア・パッケージの一環としてのヨガと非標準ケアの比較

レビューの論点

統合失調症患者に対して、ヨガを大きいケア・パッケージの一環として行った場合、非標準ケアと比較して有効か?

背景

ヨガは精神と身体のバランスを良好に保つため、身体的姿勢や呼吸運動を行う。ストレスの軽減、健康増進や幸福感を目的としたリラクゼーションと運動の方法として、現在広く導入されている。統合失調症は、実在しないものの声が聞こえる幻聴、乏しい感情的反応、社会的な引きこもりなどの症状がある重篤な精神疾患である。多くの場合、人生の長期間にわたって患者に影響し、主に抗精神病薬で治療される。しかし、これらの薬は必ずしも十分な効果が得られるとは限らず、いくつかの調査では追加治療としてのヨガが有益で統合失調症患者の生活の質の改善に役立つ可能性があると示唆されている。ヨガは、カウンセリングや他の形式の運動などの治療と組み合わせて、「ケア・パッケージ」に含むことができる。非標準ケアには、トークセラピー、表現療法(アート、ダンス、演劇、音楽、執筆)およびその他の形式の運動などが含まれる。

エビデンスの検索

2018年5月、Cochrane Schizophreniaの情報スペシャリストは、統合失調症患者を対象とした試験について、Cochrane Schizophreniaのランダム化比較試験専門登録簿を検索した。関連する可能性がある試験を30件特定した。レビュー著者らは、これらの試験の論文全文を慎重に検討し、統合失調症患者が、そのときに受けていた治療に加えて、ケア・パッケージの一環としてヨガを行う群と他のタイプの非標準ケア介入群にランダム割付けされたランダム化比較試験であることを確認した。29件は上述の選択基準に一致したために組み入れることができなかった。1件は現在実施中であり、利用できるデータはない。

主要な結果

現在、統合失調症患者を対象とした、ケア・パッケージの一環としてのヨガと非標準ケアの効果を比較したランダム化対照試験から得られるデータはない。

エビデンスの質

現在、非標準ケアと比較して、ケア・パッケージの一環としてのヨガの利用を肯定または否定する質の高い科学的根拠(エビデンス)はない。統合失調症は長期疾患であることが多く、ヨガパッケージと他の種類の治療法を比較する研究が必要である。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2019.09.30] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。  《CD012807.pub2》

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