慢性頸部痛に対する経皮的電気神経刺激療法(TENS)

レビューの論点

慢性(12週間以上)頸部痛がある人々にとって、TENSを行うことの利益と不利益は何か?

背景

慢性頸部痛とは、後頭部から肩上部までの頸椎に、12週以上続き、頸部の可動域制限をきたす持続的な痛みとして定義される。TENSは慢性頸部痛に対する一般的な治療法である。これは、痛みを軽減するために、皮膚に電流を流す機器を使用し行われる。TENSは臨床現場において広く使用されていますが、慢性的頸部痛を持つ人々にとっての利益と不利益に関するにエビデンスは不足している。

検索日

2018年11月9日までに発表された論文を組み入れた。

研究の特性

慢性頸部痛をもつ合計651人の参加者(平均年齢31.7歳から55.5歳)を登録した7つの研究を組み入れた。各研究の参加者は30人から218人だった。参加者はTENSまたは対照となる介入(プラセボまたは別の種類の治療)を受けた。それぞれの研究は、1回のTENSを行う時間(20分から60分)、TENSを行う回数(1回から12回)、および治療プログラムの合計期間(1日から45日)という点で大きく異なっていた。

主な結果

組み入れた各研究には違いがあるため、それらの結果を統合することは適切ではないと判断した。組み入れた7つの研究のうち、2つは参加者の頸部痛軽減効果においてTENSはプラセボより優れるわけではないと報告していた。組み入れた研究のいずれにおいても機能障害または有害事象の評価は行われていなかった。

エビデンスの質

慢性頸部痛に対するTENSの効果についてのエビデンスの質は、“非常に低度”であった。

訳注: 

《実施組織》菊井将太 (阪神リハビリテーション病院 A small circle of shrimps) 翻訳、土方保和 監訳[2020.01.09]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 
《CD011927.pub2》

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