アルツハイマー病患者のてんかん治療

背景
アルツハイマー病は、高齢者においててんかん発作を増加させる危険因子である。アルツハイマー病においては、あらゆるタイプのてんかん発作が起こり得るが、おそらく過少評価されている。

研究の特徴
アルツハイマー病患者のてんかんに対する薬物療法と非薬物療法を比較した臨床試験を科学データベースで検索した。これらの治療法がどの程度効果があるのか、また、副作用はないのかの評価を目的とした。

主な結果
95人の参加者を対象とした1件のランダム化比較試験(対象者を1つまたは2つ(またはそれ以上)の治療群に無作為に分ける臨床研究)を対象とし、分析した。発作が起こらなかった対象者の割合については、抗てんかん薬の種類(レベチラセタムとラモトリジン、レベチラセタムとフェノバルビタール、ラモトリジンとフェノバルビタール)による有意差は認められなかった。レベチラセタムは認知機能(思考)を改善し、ラモトリギンは抑うつを和らげることができ、フェノバルビタールとラモトリギンは認知機能を悪化させ、レベチラセタムとフェノバルビタールは気分を悪化させることが考えられた。

エビデンスの確実性
本研究で得られたすべての結果に対するエビデンスの確実性は、非常に低いものであった。つまり、この結果は非常に不確かなものであり、慎重に解釈する必要があるということを示している。アルツハイマー病患者のてんかん治療に、どれだけの効果と忍容性があるかを明らかにするには、大規模なランダム化比較試験が必要である。

エビデンスは2020年8月までのものである。

訳注: 

《実施組織》冨成麻帆、 小林絵里子翻訳[2021.06.14]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD011922.pub4》

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