成人の不安に対する、セラピストのサポートを伴うインターネットベースの認知行動療法:エビデンスのレビュー

このレビューに関心がある人は?

不安に悩む人とその家族

・一般開業医

心理療法サービスに従事している専門家

精神保健の問題を解決するためのインターネットを利用した治療法の開発者

なぜこのレビューが重要なのか?

多くの大人が不安障害に悩まされており、日常生活に大きな影響を与えている。不安障害は、仕事を休んだり、生活の質が低下したりすることで、高額な医療費がかかり、社会的にも大きな負担となることが多い。認知行動療法(CBT)は不安を軽減する効果的な治療法であることが研究で明らかになっている。しかし、長い待機者リスト、予約できる時間の不足、交通手段の問題、資格を持ったセラピストの数が限られているなどの理由により、多くの人が対面式CBTを利用できていない。

インターネットベースのCBT(ICBT)は、対面式のセラピーにアクセスする際の障壁の多くを克服しうる解決策を提供する。セラピストは、電話や電子メールでインターネットによる治療にアクセスしている患者さんをサポートすることができる。これにより、特に地方に住む人たちにとって、CBTへのアクセスを高める方法が提供されると期待されている。セラピストのサポートを受けたICBTが、不安症状の軽減に効果があるかどうかはまだわかっていない。

このレビューでわかることは何か?

本レビューは、セラピストのサポートを伴うICBTが不安症の有効な治療法であるかどうかを調べるために、現在の研究をまとめることを目的としている。

このレビューは、以下の質問に答えることを目的としている。

- セラピストのサポートを伴うICBTは、無治療(待機者リスト)よりも効果的か?

- セラピストのサポートを伴うICBTは、対面のCBTと比較してどのくらい効果があるか?

- セラピストのサポートを伴うICBTは、ガイドなしのCBT(セラピストの関与がないセルフヘルプ)と比較して、どのくらい効果があるか?

- 不安に対するセラピストのサポートを伴うICBTの現在の研究の質は?

このレビューで対象となる研究は?

2015年3月までに発表された、不安に対するセラピストのサポートを伴うICBTに関する質の高い研究をすべて、データベースで検索した。レビューに含めるためには、不安障害を主診断とする18歳以上の成人を対象としたランダム化比較試験でなければならなかった;合計3214人の参加者をによる38の研究がレビューに含まれた。

このレビューのエビデンスからわかることは?

セラピストのサポートを伴うICBTは、無治療(待機者リスト)に比べて、不安の改善と症状の軽減に有意に効果があった。エビデンスの質は低~中等度であった。

エビデンスの質は非常に低かったが、セラピストのサポートを伴うICBTとガイドなしCBTの効果には有意差はなかった。患者満足度は概して治療者がサポートするICBTの方が高いと報告されたが、患者満足度は正式には評価されなかった。

セラピストのサポートを伴うICBTは、対面のCBTと比較して効果に差はない可能性がある。エビデンスの質は低かった。

参加者やスタッフの盲検化、アウトカム評価を除けば、含まれた研究におけるバイアスのリスクは低かった。有害事象が報告された研究はほとんどなかった。

訳注: 

《実施組織》阪野正大 翻訳、瀬戸屋希 監訳[2020.10.23]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD011565.pub2》

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