統合失調症に対する短期認知行動療法 対 標準の認知行動療法

統合失調症を持つ人は、無いはずの声が聞こえたり、物が見えたり(幻覚)、奇妙な信念を持ったり(妄想)することが多い。この疾患の特徴は、思考、感情、信念、認識の障害である。また、統合失調症の人は、就職や友達作り、人付き合いに困難を感じることもある。

認知行動療法(CBT)は、人々の思考、感情、行動に焦点を当て、奇妙な考えや非機能的な考えに向き合うことによって効果を上げる。CBTはもともと、強迫性障害などの心理的な障害を持つ人を支援するために開発された。最近では、統合失調症の人を支援するためにも使用されている(CBTp)。人々はセラピストと協力しながら、自分の考えと感情と行動をつなげていく。人々は自分の信念、認識、論理についてもう一度考え直し、考えや感情、行動、症状を自ら観察するように励まされる。CBTpは、奇妙な思考や統合失調症の症状に対処するための新しい方法になり得ることが示唆されている。人々の苦痛を軽減し、機能を向上させることができるかもしれない。

標準的なCBTpでは、4~6ヶ月間で約16回(12~20回の間)のセッションを行うが、短期のCBTpでは4ヶ月以内に約6~10回のセッションを行う。

このレビューの目的は、統合失調症を持つ人を対象とした、短期CBTpと標準CBTpの2種類のCBTpを比較することであった。関連するランダム化研究の検索が2013年に行われた。関連すると思われる研究が7件だけ見つかった。しかし、いずれの研究も統合失調症を持つ人をランダム割り付けしていたものの、短期CBTpと標準CBTpを比較した研究は無かった。それらの研究は主に、短期CBTpを標準的な治療や他の療法と比較していた。そのため、統合失調症や精神病に対する短期CBTpと標準CBTpを比較するための情報や文献は存在しない。

短期CBTpと標準CBTpを比較した大規模な研究と試験を行う必要がある。その研究では、費用を評価し、標準的なCBTpと短期CBTpを明確に定義し、期間やセッション数、すなわちCBTpの「有効量(効果を発揮するために必要な量)」に焦点を当てる必要がある。

この平易な要約は、サービス利用者であるBen Gray, Service User Expert, Rethink Mental Illnessによるものである。

訳注: 

《実施組織》 五十嵐百花 翻訳, 佐藤さやか 監訳 [2021.3.22] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所地域・司法精神医療研究部(以下、NCNP精研地域部;cochranereview.ncnpcmhl@gmail.com)までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。NCNP精研地域部では最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD010646.pub3》

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