脳血管性認知症に対する高圧酸素療法

高圧酸素療法(HBOT)は、様々な病気の治療に用いられ、実験的研究および予備的臨床研究において脳血管性認知症(VaD)の治療に有効である可能性が示されてきた。本レビューでは、ドネペジル併用のVaD患者64名を対象とした、RCT1件を選択したが、方法論的に質が良くなかった。安全性評価について全く言及されていなかった。この著者らは認知における利益を報告していたが、本試験だけでは有効性のエビデンスとして考えるわけにはいかない。適切なデザインのさらなるRCTが必要である。

著者の結論: 

VaD患者に対する有効な治療としてHBOTを支持するエビデンスは不十分であった。今後の試験はHBOTを偽HBOTと比較したランダム二重盲検とすべきである。

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背景: 

高圧酸素療法(HBOT)は、様々な病気の治療に用いられ、実験的研究および予備的臨床研究において脳血管性認知症(VaD)の治療に有効である可能性が示されてきた。

目的: 

単独またはアジュバント治療に用いるHBOTのVaDに対する有効性および安全性を評価すること。

検索方法: 

'hyperbaric'または'oxygen'または'HBO'または'HBOT'の用語を用い、2011年12月20日にALOIS: the Cochrane Dementia and Cognitive Improvement Group Specialised Registerを検索した。ALOISは、多数の主要な医療データベース、多くの試験登録リストおよび灰色文献を毎月検索して同定した臨床試験の記録を収載している。また、 'gaoyayang'、'xueguanxingchidai'、'chidai'の単語を用いて2011年11月10日にChinese Biomedical Database (CBM)、Chinese National Knowledge Infrastructure (CNKI)、VIP Chinese Science and Technique Journals Databasを検索した。さらに、その後追加された情報について選択した研究の著者に連絡を取った。

選択基準: 

VaD患者を対象に、HBOTを無介入または偽HBOTと比較、あるいはHBOTと他の治療の併用をその治療単独と比較したランダム化比較試験(RCT)を適格とした。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが別々に試験の質を評価しデータを抽出した。

主な結果: 

患者64名を対象とした1件の研究を選択した。それはドネペジルのアジュバントとしてのHBOTをドネペジル単独と比較するものであった。この選択した研究は方法論的に質が良くないと判断された。HBOT+ドネペジルを投与された患者はドネペジル単独療法群に比べて、Mini-Mental State Examination (MMSE)(WMD 3.50、95% CI 0.91~6.09)または長谷川式簡易知能評価スケール(HDS)(WMD 3.10、95% CI 1.16~5.04)により測定した治療12週間後の認知機能が有意に良好となった。死亡例および中止例はなく、研究では安全性の評価にについて全く言及されていなかった。全般的機能、行動障害、日常生活動作は本研究で検討されていなかった。

訳注: 

監  訳: 大神 英一,2012.11.14

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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