筋層非浸潤性膀胱癌に対するゲムシタビンの膀胱内注入

著者の結論: 

1件の研究に基づき、手術直後の単回投与は無効である。ゲムシタビンはマイトマイシンCより活性が強く、毒性プロフィールは低いように思われる。BCGの膀胱内注入療法と比較した場合、ゲムシタビンは中リスク患者には類似する効果を示し、高リスク患者には有効性に劣り、BCGに難治性の患者には優れた有効性を示した。しかし、同定されたランダム化試験はそれぞれNMIBCの臨床状況が異なり、エビデンスの根拠は限定的である。したがって、以上のデータは裏付けとなるエビデンスがさらに利用可能となるまで注意して解釈する必要がある。NMIBCに対する膀胱内注入療法の目的は、腫瘍の再発および進行を防ぎ、膀胱切除術に伴う病的状態を避けることにある。膀胱内注入用のゲムシタビンは有望な薬剤であり、この目的を達成するために泌尿器科医の治療選択肢に追加される可能性がある。

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背景: 

筋層非浸潤性膀胱癌に対する免疫療法薬または化学療法薬の膀胱内注入は腫瘍切除後の腫瘍の再発防止または再発遅延を目的として十分に確立されている治療法である。しかし、70%に上る患者が治療に失敗する可能性があり、有効性が改善された新規の膀胱内注入薬が必要である。ゲムシタビンは比較的新しい抗癌剤であり、膀胱癌に対して活性がある。

目的: 

筋層非浸潤性膀胱癌(NMIBC)において腫瘍の再発および進行を抑制することを目的としたゲムシタビンの膀胱内注入の有効性および毒性を評価すること。

検索方法: 

筋層非浸潤性膀胱癌の治療を目的とするゲムシタビンの膀胱内注入に関するランダム化試験を同定するために、MEDLINEに対する検索戦略が開発された。1947年から2011年5月まで検索した。検索したその他のデータベースはEMBASE, CINAHL、 the Cochrane Central Register of Controlled Trials、LILACS、 SCOPUS、 BNI、 Biomed Central、Web of Scienceおよび BIOSISであった。会議議事録、国際ガイドラインおよび試験のレジストリーもハンドサーチした。

選択基準: 

レビューア3名が電子検索およびハンドサーチを統合して、表題および抄録を独立して手作業で選別し、本レビューの選択基準に適合するかどうかを確認した。ランダム化比較試験または準ランダム化臨床試験で、1群以上の比較研究にゲムシタビンの膀胱内注入法を含めた研究を選択した。

データ収集と分析: 

レビューア3名がデータを抽出した。回収した情報には著者の詳細、研究デザイン、組み入れた患者の特徴、介入法の詳細および主要ならびに二次的アウトカム指標に関連するデータが含まれた。

主な結果: 

関連性のあるランダム化試験6件が同定され、各試験で無作為化された患者数は30例から341例の範囲であった(計704例)。試験はいずれもゲムシタビンを実薬と比較したもので、アウトカムの報告法はさまざまであった。ある研究は患者341例を対象とし、ゲムシタビンを術後に1回、膀胱内注入する群と生理食塩液を注入するプラセボ群を比較し、腫瘍再発率(28%に対して39%)にも無再発生存率[HR(ハザード比)0.95、95%CI 0.64~1.39、P=0.77]にも有意がないことを明らかにした。浸潤性疾患への進行率はゲムシタビン注入群の方が高かった(2.4%に対して0.8%)。別の試験ではゲムシタビンをマイトマイシンCの膀胱内注入と比較し、再発率(28%に対して39%)および進行率(11%に対して18%)はゲムシタビン群の方が低かったものの、統計学的有意性には達しないことが明らかになった。有害事象罹患率はゲムシタビン群の方が有意に低かった(38.8%に対して72.2%、P=0.02)。 試験3件ではゲムシタビンをBCGの膀胱内注入と比較したが、臨床的な異質性のためにメタアナリシスを実施することはできなかった。中程度の再発リスクがある未治療の患者[原発腫瘍の壁内進達度Ta-T1、上皮内癌(CIS)なし]を対象とした試験1件で、ゲムシタビンとBCGの効果は類似し、再発率はそれぞれ25%および30%(P=0.92)で、総進行率は同等(P= 1.0)であったことが明らかになった。排尿障害(12.5%に対して45%、P<0.05)および頻度(10%に対して45%、P<0.001)はゲムシタビンの方が有意に少なかった。高リスク患者を対象とした第二の試験で、再発率はゲムシタビン群の方がBCG群より有意に高く(53.1%および28.1%、P=0.04)、再発までの時間はゲムシタビンの方が有意に短かった(25.5カ月に対して39.4カ月、P=0.042)。過去のBCGの膀胱内注入療法に失敗した高リスク患者を対象とした第3の試験では、ゲムシタビン療法の方がBCG療法と比較して再発率の有意な低下(52.5%に対して87.5%、P=0.002)と再発までの期間の延長(3.9カ月に対して3.1カ月、P=0.9)に関連した。進行率は両群とも類似し(33%に対して37.5%、P=0.12)、グレード2または3の毒性に有意はなかった。 最後の試験はマーカー病変を利用する研究で、ゲムシタビン(2g)の膀胱内注入を週2回ずつ3週間(36%)または週1回6週間実施した場合(40%)の方が、単回投与(9%)した場合より高い反応率が報告された。

訳注: 

監  訳: 吉田 雅博,2012.4.25

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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