産後うつ病予防に対する妊娠、出産、産後の催眠療法

妊娠中および産後期間中の精神疾患として、短期間の気分変動、涙もろさ、いらいら(育児によるマタニティーブルーズ)、うつ病、産後精神病などがみられる。産後うつ病(PND)はこの範疇に含まれる。PND罹病率は非常に高い。症状として、うつ的気分、日常生活での興味や喜びの喪失、不安、易刺激性、不眠症、罪悪感、自殺念慮などが出産後3ヵ月以内にみられる可能性がある。これらは、出生児への授乳、母児相互作用、出生児の行動に対する母親の理解度に悪影響を及ぼす。認知行動療法、抗うつ薬併用または併用しないカウンセリング、訪問看護によるカウンセリング、ピア・サポート、対人関係療法などの数種類の心理学的介入または心理社会的介入が、PNDに有効であると考えられている。しかしPND発症予防に関しては、心理社会的介入または心理学的介入による明らかな効果は示されていない。催眠療法は、陣痛および出産中の疼痛を低減するため長い間使用されてきたが、PND予防に対する催眠療法の有効性は、まだ評価されていない。催眠とは、集中力と他人からの示唆に対する受容性が高まった状態である。単調な機械的手順に注意を集中させて催眠状態を起こす。本レビューには1件の研究(女性63名)を選択したが、レビューに寄与するデータはなかった。通常の出産前、中、後治療に比べて、催眠療法がPNDの予防に有効であるかを確認する、ランダム化比較試験からのエビデンスは不十分であった。現在2件の試験が進行中であり、これによりさらなる情報が今後得られる可能性がある。

著者の結論: 

産後うつ病の予防を目的とした妊娠、出産、産後の催眠療法の有効性を評価する、ランダム化比較試験(RCT)からの入手可能なエビデンスはなかった。産後うつ病を予防する周産期での催眠療法の使用および効果を評価するため、RCTによるエビデンスが必要である。現在2件の試験が進行中であり、これによりさらなる情報が今後得られる可能性がある。

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背景: 

産後うつ病罹病率は非常に高い。本疾患の治療に、数種の心理学的または心理社会的介入が有効であると考えられているが、産後うつ病(PND)の発症を予防する明らかな効果は示されていない。同様に、PNDに対する催眠療法の有効性はまだ評価されていない。

目的: 

通常の出産前、中、後治療と比較して産後うつ病の予防に対する催眠療法の効果を評価すること。

検索方法: 

Cochrane Pregnancy and Childbirth Group's Trials Register(2011年9月30日)を検索した。

選択基準: 

通常の出産前、中、後治療と催眠療法を比較しているランダム化比較試験(RCT)で、主要アウトカムまたは副次アウトカムが産後うつ病の発症リスク低下を評価したもの。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが別々に選択について試験を評価し、バイアスリスクについて選択した1件の研究を評価した。選択した研究は解析に提供するデータがなかった。

主な結果: 

1件の研究(女性63名)を選択した。しかし、対象のアウトカムを含んでいなかったため、本レビューでの解析に利用可能なデータはなかった。

訳注: 

監  訳: 江藤 宏美,2012.10.31

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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