視力障害児の非呼吸性睡眠障害に対するメラトニン

メラトニンは視力低下または視力喪失が認められる小児の睡眠障害の管理に広く用いられている。本レビューでは、メラトニンが睡眠の改善に有効かどうかを確認するため、これらの小児に対するメラトニンの使用に関する研究の調査を計画した(安全性については目的およびアブストラクトで言及しておらず、有害作用は副次アウトカムである)。小児を試験群および対照群(無治療、他の薬物またはプラセボを投与)にランダムに割り付けた研究のみを対象とするつもりであった。本レビューに組み入れるのに適した研究がみつからなかったため、メラトニンが視力障害児の睡眠を改善するかどうかに関して結論を導くことができなかった。結論を導くには、適切にデザインされた臨床試験が必要である。視力障害児にメラトニンを用いる場合のベストプラクティスに関する知識が不足しているため、睡眠障害研究およびエビデンスに基づく臨床研究の経験が豊富な研究者の参加が役立つ。また、評価対象となる小児の数を増やすには、研究に複数の施設が参加することが有益であり、このような研究によって、視力障害児にメラトニンが有効かどうか、また、最も有効な投与量や治療時期の詳細に関して確実な結論に達する可能性が高まる。

著者の結論: 

現時点では、視力障害児に対するメラトニンの使用を推奨または否定する質の高いデータが存在しない。睡眠の質、入眠までの時間、睡眠時間、夜間覚醒など、重要な臨床アウトカムを検討したプラセボ対照試験が必要である。個々の施設では選択基準を満たす小児の数が少ない可能性が高いため、比較対照試験で十分なサンプル・サイズを得るには、発達小児科医、睡眠科医およびその他の医療専門家による多施設間の協力が必須である。こうした協力体制が地域における複数施設での参加者募集の促進につながり、睡眠障害を専門とする小児科医による試験の監督が可能になる。標的集団に対するメラトニン療法のプロトコルが不足しているため、エビデンスに基づく研究の経験を有する協働者の参加も望まれる。

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背景: 

体外からのメラトニン補充は概日リズムの調節に役立ち、視力障害児における睡眠障害の管理に広く用いられている。

目的: 

本レビューの目的は、視力障害児の非呼吸性睡眠障害に対するメラトニン療法を、睡眠習慣、睡眠スケジュールおよび睡眠持続の改善に関してプラセボまたは無治療と比較評価することであった。

検索戦略: 

次のデータベースを2011年2月から2011年7月の間に検索した:Cochrane Central Register of Controlled Trials (CENTRAL)2011年1号を2011年2月4日に検索した。MEDLINE(1950年〜2011年6月第3週)を2011年6月20日に検索した。EMBASE(1980年〜2011年6月第4週)を2011年7月7日に検索した。CINAHL(1937年〜2011年9月21日)、metaRegister of Controlled Trials(ClinicalTrial.govを含む)を2011年7月20日に検索した。また、一次スクリーニングで同定した論文の参考文献一覧を検索した。

選択基準: 

クロスオーバー試験を含むランダム化比較試験(RCT)および準RCTを組み入れる予定であった。治療は体外からのメラトニン補充とした。対照群はプラセボ、他の睡眠障害治療薬または無治療とした。アウトカムは、睡眠のタイミングおよび睡眠時間の改善、生活の質ならびに有害事象であった。

データ収集と分析: 

3名のレビュー著者がそれぞれ本レビューに組み入れる試験を評価した。

主な結果: 

選択基準を満たす研究が存在しなかったため、アウトカムに関するデータは報告していない。

一次スクリーニングで9件の研究を同定した後、さらに評価を行い、これらの研究を除外した。除外した研究には2歳から18歳の計163名が参加していた。主に3つの理由からこれらの研究を除外した。まず、非ランダム化試験または症例集積研究であった。次に、ランダム化されていたが、対象者が18歳以上であった。最後に、対象集団は多様に混成され、視力障害を有する集団の結果を個別に評価することができなかった。除外した研究では、メラトニンの顕著な有害作用は報告されていなかった。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.3.13]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 
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