糖尿病性網膜症患者に対する薬草療法

本レビューの目的
本コクラン・レビューの目的は、薬草療法がプラセボ、無治療、薬草療法以外の(従来の)薬剤や外科的治療と比較して糖尿病性網膜症患者に有益であるかどうかを検証することであった。コクランの研究者は、この疑問の答えを導くため、関連するすべての試験を収集および分析し、10件の試験を同定した。

要点
薬草療法が糖尿病性網膜症患者に有益であるかどうかは不明である。

このレビューからわかったこと
生涯にわたる疾患である糖尿病は、血中の糖が非常に多い状態を意味する。体内では通常、インスリンと呼ばれるホルモンで血糖値が調整される。糖尿病では、糖を処理するために十分なインスリンがないかか、またはインスリンが作用しない。糖尿病患者では、眼に異常を呈する場合がある。高血糖は、眼底の血管に影響を与える。これは、糖尿病性網膜症として知られており、視野の障害に至る可能性があり、重度になると失明する。

世界的には、さまざまな薬草療法や植物の抽出物が糖尿病性網膜症の治療に用いられている。コクランの研究者は、以下の6種類の薬草療法を検証した:ナギイカダエキス錠剤、Sanqi Tongshuカプセル剤、テトラメチルピラジン注射液、Xueshuantong注射液、Xuesaitong注射液およびプエラリン注射液。これらの投与期間は、2週間〜12カ月であった。

本レビューの主な結果
参加者754例を対象とした関連する10試験を検証した。9試験は中国で、1試験はポーランドで実施された。

これらの試験では、糖尿病性網膜症患者を対象に、薬草療法と従来の治療薬との併用と従来の治療薬のみを比較した。試験の資金提供元について報告されている試験はなかった。結果は以下の通り。

・糖尿病性網膜症の進行について報告されている試験はなかった。
・試験で得られた科学的根拠(エビデンス)の確実性は低いが、植物抽出液によって視力改善(視力測定に用いられる視力検査表(アイチャート)で2つ以上の追加行を読むことが可能)の可能性が増加すると考えられる。
・コクランの研究者は、糖尿病性網膜症の徴候のいくつか(眼底出血の減少など)に関するエビデンスについて確実性が非常に低いと判断した。
・同様に、血糖値に対する植物抽出液の効果に関するエビデンスについて確実性が非常に低かったが、入手可能なエビデンスではわずかな効果が示唆された。
・試験の大半で、副作用は報告されなかった。2試験において、胃部不快感、そう痒、めまいや頭痛などの軽度な副作用が報告された。

本レビューはどれくらい最新のものなのか
コクラン研究者らは2018年6月まで公表された試験を検索した。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2019.09.30]《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD007939.pub2》

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