卵巣癌治療に対する上皮細胞成長因子受容体阻害薬

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著者の結論: 

ペルツズマブなどのEGFR阻害薬により、プラチナ製剤抵抗性の卵巣癌の治療に対し、既存の化学療法の有効性が増す可能性がある。既存の化学療法が無効の、特に病勢の強い腫瘍患者という特定のサブセットでは、EGFR阻害薬投与により効果がある可能性がある。EGFR阻害薬が卵巣癌の第一選択または第二選択療法として導入される前にさらなるRCTが必要である。

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背景: 

卵巣癌は、女性における癌死亡原因として世界で7番目に多い。治療は、外科的腫瘍減量術とプラチナ製剤ベースの化学療法との併用、化学療法単独、もしくはパクリタキセル併用化学療法からなる。第一選択療法が奏効した患者の55%~75%が、治療終了後2年以内に再発する。第二選択の化学療法は緩和的なもので、症状を減らし生存を延長することを目的としている。卵巣癌の分子的基礎について解明が進むにつれ、上皮細胞成長因子受容体(EGFR)チロシンキナーゼ阻害薬などの新規薬剤が開発され、進行卵巣癌患者におけるその有効性および毒性を評価する必要が生じている。

目的: 

卵巣癌治療における、上皮細胞成長因子(EGFR)受容体阻害薬単独または標準的化学療法との併用の有効性および毒性を比較すること。

検索方法: 

Cochrane Gynaecological Cancer Group Trials Register、The Cochrane Central Register of Controlled Trials (CENTRAL)2010年第4号、2010年10月までのMEDLINEとEMBASEを検索した。臨床試験登録、学術会議の抄録、選択した研究の参考文献リストも検索し、本分野の専門家に連絡を取った。

選択基準: 

組織学的に卵巣癌と診断されている女性を対象に、抗EGFR剤単独または既存の化学療法との併用を、既存の化学療法単独または無治療と比較しているランダム化比較試験(RCT)

データ収集と分析: 

2名のレビューアが別々にデータを抽出しバイアスリスクを評価した。ジェムシタビン+ペルツズマブ投与、およびジェムシタビン+プラセボ投与を受けた女性を対象に、総生存および無増悪生存の調整ハザード比(HR)と有害事象を比較するリスク比(RR)を報告した。

主な結果: 

選択基準を満たす、1件の終了RCTと3件の進行中RCTを認めた。終了試験では、再発性卵巣癌患者131例をジェムシタビン+ペルツズマブ、またはプラセボ+ジェムシタビン(コントロール群)のいずれかに無作為に割り付けていた。ジェムシタビン+ペルツズマブ群とコントロール群との間に、総生存(OS)、無増悪生存(PFS)および奏効について統計学的有意はなかったが、PFSは有意性境界値に近かった(調整HR = 0.66、95%CI 0.43~1.03、P = 0.06)。試験の報告では、ほとんどのアウトカムについてジェムシタビン+ペルツズマブ群の方が有害事象が高率であったが、(多くは有意性境界値に近かったにもかかわらず、)ほとんどは統計学的に有意ではなかった。その理由は試験が比較的小規模で観察されたイベントが少数であったことから、統計学的検出力がなかったためである。試験バイアスリスクは中等度であった。

訳注: 

監  訳: 吉田 雅博,2012.2.7

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

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