外傷性脳損傷の緊急治療およびリハビリテーションのための鍼治療

中国では、外傷性脳損傷(TBI)の緊急治療やリハビリテーション(または両方)に対する鍼治療研究されている。これらの疾患に対する鍼治療の有効性および安全性を評価したシステマティック・レビューを実施した。このレビューに、参加者294例の4件のランダム化比較試験(RCT)が適合した。3件のRCTがTBIに対する電気鍼治療を調査し、1件で急性TBIに対する鍼治療を調査した。研究の方法論的質は低く、目的、参加者の特徴、鍼の治療法および戦略、アウトカム指標は多様であった。研究数が少なく、その方法論的質も低いので、TBI治療における鍼治療の有効性と安全性の結論を導き出すのには不十分である。エビデンスに基づく結論を出すには、方法論的にしっかりとした研究がさらに必要である。

著者の結論: 

選択研究の方法論的質が低いので、TBIの緊急治療やリハビリテーションにおける鍼治療の有効性および安全性の決定的判断は可能ではない。これらの適応症に対する有益性は不確定である。質の高いさらなる研究が必要である。

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背景: 

外傷性脳損傷(TBI)は脳への損傷の重症度により致死的な場合がある。また、強度および期間がさまざまな認知、運動、コミュニケーション、感情、行動のリハビリテーションが必要となる一連の消耗性後遺症を引き起こす可能性がある。中国で実施され発表された多くの研究では、TBIの緊急治療およびリハビリテーションに鍼治療が有益であると示唆されている。

目的: 

認知、神経、運動、コミュニケーション、感情、行動の障害やこれらの合併症を含めたTBI患者の緊急治療またはリハビリテーション(もしくは両方)における鍼治療の有効性と安全性を確定すること。

検索方法: 

Cochrane Injuries Group Specialised Register、 Cochrane Central Register of Controlled Trials(コクラン・ライブラリ)、 MEDLINE、 EMBASE、 CINAHL、 AMED、 PsycINFOなどを検索した。またChinese Acupuncture Studies Register、 Studies Register of the Cochrane Complementary Medicine Field、 NCCAM、NIH Clinical Studies Databaseも検索した。中国大陸の3大学術文献データベース(CNKI、 VIP、 Wang Fang Data)も簡体中国語のキーワードを使って検索した。全データベースを2009年12月に検索し、一部については2012年10月までに更新したものもある。

選択基準: 

全年齢のTBI患者を対象にさまざまな鍼治療を評価したランダム化比較試験(RCT)を選択した。鍼治療プラセボまたは偽治療を、または鍼治療+他の治療を同様の他の治療のみとを比較した試験を選択した。異なる鍼治療同士の単なる比較、または他の治療の単独治療に対する鍼単独治療の比較試験は、鍼治療本来の効果を現わしていないので除外した。

データ収集と分析: 

2名のレビュー著者が独立して文献サーチから関係する論文を同定し、データ抽出フォームを使ってデータを抽出した。コクラン共同計画のバイアスのリスクを評価するツールを用い、選択研究の方法論的評価をした。選択研究および入手可能データが不十分であるので、量的データ解析は不可能であった。

主な結果: 

参加者294例の4件のRCTのアウトカムを、本レビューで報告した。3件はTBIに対する電気鍼治療を調査し、1件で急性TBIに対する鍼治療を調査した。これらの適応症に鍼治療が有効であることが結果から示唆されているようであるが、これらの研究の方法論的質が低いのでこの結果は疑わしいものである。いずれの試験にも鍼治療による有害作用は報告されなかった。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2016.1.5]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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