慢性喘息に対する、ホルモテロールと吸入コルチコステロイドの定期投与およびサルメテロールと吸入コルチコステロイドの定期投与との比較:重篤な有害事象について

著者の結論: 

成人を対象とした7件の同定した試験では、ホルモテロール/ブデソニドとサルメテロール/フルチカゾンとの比較において、安全性に有意を認めなかった。喘息関連の重篤な有害事象はまれであり、喘息関連死の報告はなかった。成人を対象にホルモテロール/ベクロメタゾンをサルメテロール/フルチカゾンと比較している1件の小規模研究、成人を対象にホルモテロール/モメタゾンをサルメテロール/フルチカゾンと比較している1件の研究、および成人を対象にホルモテロール/フルチカゾンをサルメテロール/フルチカゾンと比較している1件の研究があった。

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背景: 

慢性喘息において、定期ホルモテロールおよび定期サルメテロール(長時間作用型ベータ2作動薬)のどちらの使用によっても、プラセボに比較して重篤な有害事象が増加することが、以前のコクラン・レビューで確認されている。この増加は、参加者を吸入コルチコステロイドにランダム化しなかった試験で有意であった。しかし、吸入コルチコステロイドを併用して各薬剤をランダム化した試験のシステマティック・レビューでは、重篤な有害事象の有意な増加は示されなかった。信頼区間が非常に広いため、吸入コルチコステロイドの追加により、長時間作用型ベータ2作動薬の定期投与の安全性が完全に安全となるのか確かではなく、これらの試験での参加者数は少なく重篤な有害事象は不十分であったため、併用投与の安全性について明確な決定は得られていない。

目的: 

慢性喘息患者を対象に、ランダム治療の一環として吸入ステロイドをそれぞれ併用したホルモテロール定期投与またはサルメテロール定期投与にランダム化した試験において、死亡リスクおよび非致死的な重篤な有害事象リスクを比較することとした。

検索方法: 

Cochrane Airways Group Specialised Register of trialsを用いて試験を同定した。未発表試験について臨床試験登録の製造業者ウェブサイトをチェックし、ホルモテロールおよびサルメテロールに関連した、米国食品医薬品局(FDA)への提出書類をチェックした。最新検索日は2011年8月であった。

選択基準: 

患者の年齢および喘息重症度を問わず、ホルモテロール定期投与とサルメテロール定期投与(それぞれのランダム化に吸入コルチコステロイド併用)にランダム化し、12週以上の試験期間の並行デザイン比較臨床試験を選択した。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが別々に本レビューの選択について試験を選択しアウトカムデータを抽出した。治験依頼者および著者に、」死亡率および重篤な有害事象の未発表データについて問い合わせた。

主な結果: 

6,769例の成人および青年期患者についての10件の研究が本レビューの適格基準を満たした。7件の研究(5,935例の成人および青年期患者)は、ホルモテロール/ブデソニドをサルメテロール/フルチカゾンと比較していた。1件の研究以外はすべて、単一吸入器により配合製剤を投与し、大半は、ホルモテロール12 μg/ブデソニド400 μg 1日2回投与を、サルメテロール50 μg/フルチカゾン250 μg 1日2回投与と比較していた。全体として2例の死亡(各配合製剤につき1例)があり、いずれも喘息と関連ありとは考えられなかった。 非致死的重篤有害事象であらゆる原因によるもの[Petoオッズ比(OR)1.14、95%信頼区間(CI)0.82~1.59、I2 = 26%]および喘息関連のもの(Peto OR 0.69、95%CI 0.37~1.26、I2 = 33%)のいずれにも投与群間(ホルモテロール/ブデソニド対サルメテロール/フルチカゾン)で有意はなかった。23週間で、あらゆる原因の重篤有害事象発現率はホルモテロール/ブデソニド群で2.6%、サルメテロール/フルチカゾン群で2.3%であり、喘息関連の重篤な有害事象発現率はホルモテロール/ブデソニド群で0.6%、サルメテロール/フルチカゾン群で0.8%であった。 ホルモテロール/ベクロメタゾンをサルメテロール/フルチカゾンと比較している1件の研究(成人228例)があったが、死亡も入院もみられなかった。1件の研究(成人404例)は、ホルモテロール/モメタゾンをサルメテロール/フルチカゾンと52週間比較していたが、イベント数が少なく、2つの製剤の安全性比較についてかなりの不確実性が残されている。同様に1件の研究(成人202例)は、ホルモテロール/フルチカゾンをサルメテロール/フルチカゾンと比較していたが、各群において重篤な有害事象は1件しかなかった。 小児を対象とした研究はなかった。

訳注: 

監  訳: 林 啓一,2012.4.10

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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