虚血性心疾患に対するオフポンプ冠動脈バイパス術とオンポンプ冠動脈バイパス術との比較

著者の結論: 

システマティック・レビューでは死亡率、脳卒中および心筋梗塞に関して、オンポンプCABGと比較してオフポンプCABGの有意な利益を明らかにすることはできなかった。反対に、人工心肺と心筋保護下の心停止を利用してオンポンプCABGを受けた患者群の方が長期生存率に優れることが認められた。最新のエビデンスに基づき、引き続きオンポンプCABGを標準的な外科的治療法とするべきである。しかし、大動脈内へのカテーテル挿入および人工心肺が禁忌である場合はオフポンプCABGも容認できると考える。更なるランダム化臨床試験を実施し、このような患者に対する至適な治療法について研究する必要がある。

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背景: 

冠動脈バイパス術(CABG)は人工心肺を利用せずにあるいは利用して実施され、それぞれオフポンプおよびオンポンプCABGと称する。しかし、どちらがより望ましい方法であるかは不明である。

目的: 

虚血性心疾患患者においてオフポンプCABGとオンポンプCABGの利益および有害性を比較して評価すること。

検索方法: 

2011年2月2日にコクラン・ライブラリ(2011年第1号)のCochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)、MEDLINE(OVID、1950年~2011年2月)、EMBASE(OVID、1980年~2011年2月)、Science Citation Index Expanded on ISI Web of Science(1970年~2011年2月)およびCINAHL(EBSCOhost, 1981年~2011年2月)を検索した。言語による制約は設けなかった。

選択基準: 

言語、発表状態および盲検化に関わらず、オフポンプCABGをオンポンプCABGと比較したランダム化臨床試験

データ収集と分析: 

二値データの統計解析にはリスク比(RR)を、連続データには平均差(MD)と95%信頼区間(CI)を利用した。疎データと蓄積データの複数の更新を原因とするランダムのリスクを評価する解析にはtrial sequential analysis(TSA:逐次解析)を利用した。

主な結果: 

試験86件(参加者10,716例)を選択した。試験10件(参加者4,950例)はバイアスのリスクが低いと判断された。すべての試験をプールして解析したところ、オフポンプCABGではオンポンプCABGと比較して、あらゆる原因の死亡率が上昇した[189/5,180例(3.7%)に対して160/5,144例(3.1%)、RR 1.24、95%CI 1.01~1.53;P = 0.04]。この効果バイアスリスクが低い試験で確認された[154/2,485例(6.2%)に対して113/2,465例(4.5%)、RR 1.35、95%CI 1.07~1.70、P = 0.01]。TSAによって結果に関するランダムの危険性は低いことが明らかになった。オフポンプCABGの場合は遠位吻合が少なかった(MD -0.28、95%CI -0.40~-0.16、P < 0.00001)。心筋梗塞、脳卒中、腎不全および冠動脈の再治療に有意は認められなかった。オフポンプCABGはオンポンプCABGと比較して術後の心房細動の発生が軽減したが、バイアスリスクが低い試験では、この推定された効果に有意はなかった。

訳注: 

監  訳: 澤村 匡史,2012.7.24

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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