統合失調症を持つ人々のための情報通信技術を用いた患者教育と支援

情報通信技術(ICT)には、コンピュータ、電話、テレビやラジオ、ビデオ録画や音声録音の使用が含まれる。ICTとは、情報と通信を扱うために使用される全ての技術的手段のことである。この20年間で、精神疾患を持つ人々に教育や治療、社会的支援を届けるためにICTを使う傾向が強まっている。

病気や治療についての教育は、自らの健康に対する意識を高める良い方法であることが分かっている。ICTは、ケア全体の多くの面で改善をもたらす可能性がある。例えば、より良い教育と社会的支援、病気の情報提供やマネジメントの改善、医療サービスへのアクセスの増加、ケアの質の改善、サービスとのより良い接触とその継続、コスト削減などである。近年の研究では、ICTとwebが人々の就労生活や人付き合いをサポートし、抑うつや不安にうまく対処するのを助ける可能性があることも示されている。しかし、統合失調症などの重度の精神健康問題を持つ人々を支援する際のICTの具体的な有効性については、知識が不足している。

このレビューは合計で1063人が参加した6件の試験を組み入れている。ICTを用いた教育と支援は大きな可能性を示しているが、重度精神疾患を持つ人々に対してICTを使用することの明確な利益は無かった(標準的または通常のケア、および/または教育と支援を行うその他の方法と比較した場合)。しかしこのレビューの著者らは、ICTは非常に重要な、有望で成長中の分野であるため、この結果によって今後のICTに関する質の高い研究を先延ばしにするべきではないと提唱している。

この平易な要約は、Rethink Mental Illnessのサービス利用者およびサービス利用者専門家のBenjamin Grayによるものである。Email: ben.gray@rethink.org

訳注: 

《実施組織》 五十嵐百花 翻訳, 佐藤さやか 監訳 [2020.9.16] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所地域・司法精神医療研究部(以下、NCNP精研地域部;cochranereview.ncnpcmhl@gmail.com)までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。NCNP精研地域部では最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 《CD007198.pub2》

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