急性冠動脈症候群に対する第Xa因子阻害薬

著者の結論: 

第Xa因子阻害薬のACSに対する治療効果として、90~180日時点の総死亡のリスクが低下していると思われ、大量出血および少量出血の発現頻度が低いことから、第Xa因子阻害薬はエノキサパリンに比較して安全性プロファイルが良好であると思われる。

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背景: 

凝固機構の活性化は、急性冠動脈症候群(ACS)の原因として中心的役割を担う。未分画ヘパリン(UFH)と低分子量ヘパリン(LMWH)は血栓形成の進行を予防する薬剤であり、これらの薬剤の投与は非常に重要治療戦略となる。しかし、両薬剤を使用するにはいくつかの制約があることから、最近では新しい合成薬の開発が進んでいる。

目的: 

ACS治療薬として第Xa因子阻害薬をUFHまたはLMWHと比較し、臨床的な有効性と安全性を評価すること。

検索方法: 

2008年12月に、コクラン・ライブラリ(2008年、Issue 1)のCochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL)、PubMed、EMBASE、LILACSを検索するとともに、国際会議による発表文献と、選択した研究の参照文献リストを検索した。

選択基準: 

ACS発症中の患者を対象に第Xa因子阻害薬をUFHまたはLMWHと比較したランダム化比較試験(RCT)を選択した。アウトカム指標は、総死亡、心筋梗塞、再梗塞、虚血の再発、有害事象である。

データ収集と分析: 

対象となる試験の選択、質の評価、データ抽出は2人のレビューアが別々に行い、意見の相違は2人の合意を得ることで解決した。データの解析にはリスク比(RR)と95%信頼区間(CI)を用い、必要に応じて、治療必要数を報告した。

主な結果: 

27,976例の被験者を対象とする合計4件のRCTが選択基準に合致した。対象となったRCTのうち唯一の第Xa因子阻害薬はフォンダパリヌクスであった。フォンダパリヌクスは、90~180日時点の総死亡のリスクがUFHまたはLMWHに比較して低いようであり(RR 0.89、95%CI 0.81~0.97)、特に、エノキサパリン(LMWH)を対照薬とする群と比較した場合に低かった。また、フォンダパリヌクスは、30日時点の大量出血および少量出血のリスクがエノキサパリンに比較して低かった(大量出血のRR 0.63、95%CI 0.55~0.73、少量出血のRR 0.34、95%CI 0.28~0.43)が、UFHとの比較では低くなっていなかった(大量出血のRR 1.41、95%CI 0.49~4.10、少量出血のRR 0.70、95%CI 0.14~3.39)。

訳注: 

監  訳: 澤村 匡史,2011.10.4

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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