変形性関節症に対する温泉療法またはスパ療法

このコクランレビューの要約では変形性関節症(OA)に対する温泉療法(ミネラル浴)の効果に関する研究で明らかになったことを示す。レビューの結果、変形性関節症患者について以下のことが示された。

−ミネラル浴は無治療と比較して痛みや生活の質を改善する可能性がある。−硫黄浴と死海浴の両方を行った場合、無治療と比較して治療後1カ月目に痛みの改善が認められる可能性がある。−硫黄浴または死海浴のいずれかを行った場合、無治療と比較して痛みに対する効果は認められなかった。−硫黄浴または死海浴のいずれかを行った場合、無治療と比較して痛みに対する効果は認められなかった。

ミネラル浴が身体機能および生活の質に有効かどうかを判断するにはデータが不足している。これらの研究では、試験参加者の全体的な感覚および副作用については検討されていなかった。

変形性関節症(OA)とは、温泉療法とは?変形性関節症は関節の疾患である。関節の軟骨が失われると、関節の骨は損傷部分を修復しようとする。しかし、回復するかわりに、骨が異常に成長し、状態が悪化する。例えば、骨が変形して関節に痛みや不安定さを生じる。以前は、変形性関節症は軟骨の摩耗が原因であると考えられていた。しかし、現在では、変形性関節症は関節全体の疾患であると考えられている。変形性関節症は関節炎のなかで最も発生が多く、男性も女性も同様に罹患する。多くの人にとって、変形性関節症は長期に及ぶ身体障害の主な原因となっている。

温泉療法またはスパ療法は、歴史が古く、人気の高い療法である。温泉療法では、31から34C(華氏88から93F)のミネラル水を満たした屋内プールに入浴する。温泉療法では、さまざまな種類のミネラル水が用いられる。

著者の結論: 

治療と比較したミネラル浴の有益性に関して「シルバー」レベルのエビデンスが得られた(www.cochranemsk.org)。その他の温泉療法の効果はすべて不明であった。しかし、方法の質が低く、適切な統計解析が実施されておらず、データの提示が不適切であるため、科学的エビデンスが弱い。したがって、ここで述べた「有望な結果」は慎重に解釈すべきである。

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背景: 

温泉療法(別名スパセラピー、ミネラル浴)は、関節炎患者に対する最も古い治療の一つである。温泉療法の目的の一つは疼痛緩和で、結果として患者の苦痛を除き、体調を回復させる。今回の更新では、1件の研究を新たに組み入れた。

目的: 

変形性関節症(OA)患者に対する温泉療法の有効性を評価すること。

検索方法: 

EMBASE、PubMed、Cochrane 'Rehabilitation and Related Therapies' Field database、PEDroおよびCENTRAL(2006年3号)を2006年10月まで検索した。また、選択基準を満たす研究を検索するため、参考文献を確認し、試験著者に問合せを行った。

選択基準: 

温泉療法を何らかの介入または介入なしと比較したランダム化比較試験(RCT)。患者集団の90%以上がOAの診断を受けていなければならなかった。

データ収集と分析: 

2名のレビュー著者がそれぞれ質の評価およびデータ抽出を行った。相違点は話し合いで解決した。臨床的に異質性が認められた場合、またはデータが不足している場合は統計解析のプール化を中止した。

主な結果: 

7件の試験(患者498名)を本レビューに組み入れた。2件の研究ではスパ療法と無治療を比較した。1件の研究では温泉を自宅での運動の追加治療として評価しており、別の研究ではCserkeszölöの温泉水を水道水(プラセボ)と比較した。3件の研究は、硫黄浴または死海浴を無治療と比較したもの、または水道水を用いたミネラル浴と無治療を比較したものであった。これらのうち1件のみでintention-to-treat解析が実施されており、2件ではintention-to-treat解析用のデータのみが提供されていた。「生活の質」がアウトカムとして報告されていたのは1件の研究のみであった。

結果:

疼痛、生活の質および鎮痛薬の服用に対するミネラル浴の有益性を無治療と比較した、「シルバー」レベルの エビデンスが得られている(SMD 1.82〜0.34)。死海浴+硫黄浴は無治療と比較して疼痛および機能に統計学的有意が認められたが、効果が認められたのは治療終了時のみ(重み付け平均差[WMD] 5.7, 95%CI 3.3〜8.1)で、治療3カ月後(WMD 2.6, 95%CI -1.1〜6.3)には効果が認められなかった。1または3カ月間の死海浴(WMD 0.5, 95%CI -0.6〜1.6)は、無治療と比較して疼痛および機能に統計学的有意が認められず、1または3カ月間の硫黄浴(WMD 0.4, 95%CI -0.9〜1.7)は、無治療と比較して疼痛および機能に統計学的有意が認められなかった。

対象試験では、有害事象は判定されていなかった。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.2.28]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。
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