静脈性下腿潰瘍を治療するためのフラボノイド

静脈性下腿潰瘍(開放創として出現)は、下肢の静脈の閉塞または機能不全が原因となる。包帯や靴下(ストッキング)を用いた下肢の圧迫は、静脈性潰瘍の治癒を促進することで知られている。フラボノイドは、一般に補助食品として使用される。ココア、チョコレート、お茶、赤ワインなどの植物をベースにして作られた食品や飲料に含まれる。潰瘍治癒の促進目的で使用されることもある。臨床試験の本レビューでは、フラボノイドが静脈性下腿潰瘍の治癒を促進できることを示すエビデンスが一部あると結論づけた。しかし、多くの試験の報告の質は低く、有益と思われる効果が本当に存在するか否かは確信できなかった。つまり、確固たる結論を出すことはできず、下腿潰瘍のある人にフラボノイドをルーチンで使用することを推奨できない。フラボノイドの真の臨床効果を評価するには、より大規模で質の良い試験を実施する必要がある。

著者の結論: 

治癒した潰瘍の数の総体的推定は、フラボノイド(MPFFとHRの両者)を支持する有意な効果を示しているように思える。しかし、この結果は慎重に解釈する必要がある。これらの試験のほとんどの報告は質が悪く、ランダム化、割り付けの隠蔵化、盲検化および不完全なアウトカム・データの処理方法のバイアスのリスクが不明であった。出版バイアス可能性もあった。

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背景: 

静脈性下腿潰瘍は、大きな健康上の負担となっている。英国だけでも、英国の国営医療制度(NHS)の推計400,000,000英国ポンド(GBP)が使われている。フラボノイドは、静脈性下腿潰瘍の病態生理に関わる特定の微小循環パラメーターを扱う多様なな天然の静脈強壮化合物のグループである。

目的: 

静脈性下腿潰瘍の治癒に対するフラボノイドの臨床効果を評価すること。

検索方法: 

2013年2月、Cochrane Wounds Group Specialised Register、The Cochrane Central Register of Controlled Trials (CENTRAL) (「コクラン・ライブラリ」2013年第1号)、Ovid MEDLINE、Ovid MEDLINE (In-Process & Other Non-Indexed Citations)、Ovid EMBASEおよびEBSCO CINAHLを検索した。日付や言語の制限は設けなかった。選択した試験の参考文献一覧を確認し、製薬会社に連絡を取った。

選択基準: 

成人の静脈性下腿潰瘍治癒に対するフラボノイド含有化合物の有効性を調べるランダム化比較試験(RCT)。

データ収集と分析: 

2名のレビュー著者が独立してレビュー用試験を評価し、意見の相違点は3人目の著者に問い合わせた。レビュー対象から外した論文は、すべて3人目の著者によって二重チェックされた。バイアスのリスクの評価およびデータ抽出は2名の著者が独立して実施したが、相違点は3人目の著者に問い合わせて解決した。

主な結果: 

9件の研究(1075例の参加者)のうち、5件の研究ではマイクロピュア・フラボノイド[Micronised Purified Flavonoid Fraction (MPFF)]、4件の研究ではヒドロキシエチルルトシド(HR)が調べられていた。

723例の参加者を対象とした5件の試験からメタアナリシスを実施したが、5件のうち4件の試験は質が悪かった。このメタアナリシスの結果、コントロール群と比較してMPFF群の方が静脈性下腿潰瘍の治癒率が高いことが示された(RR 1.36、95%CI 1.07~1.74)。しかし、バイアスのリスクが低く最も厳密に実施された試験では、MPFF群にさらなる利益は認められなかった(RR 0.94、95%CI 0.73~1.22)。この試験については未発表なので、フラボノイドに関する出版バイアス可能性を認識しておかなければならない。HRに関する試験の報告の質も、総体的に低かった。バイアスのリスクがすべて不明な3件の試験を集積すると(279例の参加者を対象)、治癒した潰瘍の数についてHRを支持する統計学的に有意な効果が認められた(RR 1.70、95%CI 1.24~2.34)。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2016.1.1]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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