慢性喘息に対するサルメテロール定期投与:重篤な有害事象について

著者の結論: 

プラセボに比較して、サルメテロール定期投与により重篤な有害事象リスクの上昇を認めた。2件の大規模サーベイランス研究において、吸入コルチコステロイド非使用患者における喘息関連死リスクの明らかな上昇もみられた。ベースライン時吸入ステロイド使用患者において喘息関連死亡率の上昇は少なかったが、信頼区間は広かったため、吸入コルチコステロイドによりサルメテロール定期投与のリスクが相殺されるとは結論できない。小児でのサルメテロール定期投与の有害作用は、研究されている小児の数が少ないため依然として不明である。

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背景: 

疫学的エビデンスにより、ベータ2作動薬と喘息死亡率の増加との関連が示唆されている。この関連について可能性のある因果関係、および長時間作用型ベータ2作動薬の定期(連日)投与の安全性に関して多くの議論がなされてきた。

目的: 

本レビューの目的は、慢性喘息患者を対象に、サルメテロール定期投与をプラセボまたは短時間作用型ベータ2作動薬定期投与と比較したランダム化試験において、致死的または非致死的重篤な有害事象リスクを評価することである。

検索方法: 

Cochrane Airways Group Specialised Register of trialsを用いて試験を同定した。サルメテロール関連の未発表の試験データについて、臨床試験登録のウェブサイトおよびFDA提出書類をチェックした。最新検索日は2011年8月であった。

選択基準: 

患者の年齢および喘息重症度を問わず、サルメテロール定期投与に患者をランダム化し、12週間以上の試験期間の並行デザイン比較臨床試験を選択した。吸入コルチコステロイドは、ランダム治療レジメンの一部でない場合に限り併用を許可した。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが別々に本レビューの組み入れについて試験を選択した。1名のレビューアがアウトカムデータを抽出し2番目のレビューアがそれらをチェックした。死亡率および重篤な有害事象に関する未発表データを検索した。

主な結果: 

本レビューに、サルメテロールをプラセボと比較している試験26件と、サルブタモールと比較している試験8件を選択した。これらには62,815例の喘息参加者(小児2,599例を含む)が組み入れられていた。6件の試験(2,766例)では、重篤な有害事象のデータは得られなかった。 あらゆる原因の死亡率はサルメテロール定期投与の方がプラセボより高かったが、その上昇は有意ではなかった[Petoオッズ比(OR)1.33(95%CI 0.85~2.08]。非致死的な重篤有害事象は、サルメテロール定期投与をプラセボと比較した場合、有意に増加した(OR 1.15、95%CI 1.02~1.29)。サルメテロール定期投与188例ごとに28週で1件の重篤な有害事象が発現した(95%CI 95~2606)。小児におけるリスクが成人に比べて高いか低いか評価するエビデンスは不十分であった。サルメテロール定期投与をサルブタモール定期投与と比較した場合、致死的および非致死的有害事象の有意な増加は認めなかった。 2件の大規模研究において成人の喘息関連死の全例が発現したため、これらの研究の個々の患者データを統合した(SNS::25,180例およびSMART:26,355例)。吸入コルチコステロイドを使用しなかった患者において、サルブタモール定期投与またはプラセボと比較した場合、サルメテロール定期投与により喘息関連死リスクの有意な上昇がみられた(Peto OR 6.15、95%CI 1.73~21.84)。吸入コルチコステロイド使用患者での信頼区間は広く、吸入コルチコステロイド存在下の喘息死亡率の上昇を支持することも否定することもできなかった(Peto OR 2.03、95%CI 0.82~5.00)。

訳注: 

監  訳: 林 啓一,2012.4.10

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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