高齢者の介護施設におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)の感染制御戦略

MRSAは、特に入院中の人に、感染症を引き起こす可能性のある細菌である。MRSAは現在、介護施設に住む高齢者 (居住者) にとって問題となっている。 介護施設はMRSAが蔓延するのに理想的な場所である。居住者はお互いに近くに住んでおり、多くの人は、多くの疾患を持っており、抗菌薬の処方を複数受けている可能性や、ある人は褥瘡(床ずれ)を持っていたり、カテーテルなどの医療機器を使用しているかもしれない。 これらの要因はすべて、MRSAに感染するリスクを高め、死亡リスクを高める。

MRSAの蔓延を防ぐための多くの異なる方法が、特に病院で研究されてきた。しかし、感染制御のための教育・訓練プログラムが介護施設でのMRSAの蔓延に影響を与えたかどうかを調べた研究は1件しかなかった。 本研究は、プログラムに関与した群と通常の診療を継続した比較群との間に差がないことを示した。

病院でのMRSAの蔓延を防ぐのに有効な手段に関するエビデンスはいくつかあるが、これらのアプローチが高齢者の介護施設で有効かどうかは明らかではない。 介護施設でどのような手段が機能するのかの根拠を確立するには、さらなる研究が必要である。

訳注: 

《実施組織》 増澤祐子 翻訳、井村春樹 監訳[2020.03.09] 
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、コクランジャパンまでご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 
《CD006354.pub4》

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