外来治療を受ける子宮頚部の前癌病変[子宮頚部上皮内腫瘍(CIN)]の女性に対する疼痛緩和

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CINの治療は通常コルポスコピークリニック外来で行われ、子宮頚部から前癌病変の細胞を取り除きます。 一般的には、電気的加温ワイヤ(ジアテルミー)またはレーザーにより頚部から細胞を除去する、あるいは凍結法により異常な細胞を破壊する(凍結手術)方法がとられます。 これは痛みを伴う処置となる可能性があります。 このレビューの目的は子宮頚部コルポスコピー治療の際にどの疼痛緩和を使用すべきか検討することです。 17件の試験を同定し、これらの試験ではコルポスコピー前、中、後の疼痛緩和について異なる様式の方法を報告していました。 2件の小規模試験によるエビデンスでは、プラセボに比べて局所麻酔薬と血管を収縮させる(絞る)薬を併用して頚部に注射した場合の方が、 コルポスコピー治療の際痛みが少なく出血量も少なかったことが示されました。 コルポスコピークリニックで頚部の治療を受ける前に経口鎮痛薬(イブプロフェンなど)を服用するよう大半のガイドラインが勧めていますが、 2件の小規模試験によるエビデンスでは、この方法による処置中の痛みの減少は示されませんでした。 この分野のエビデンスの大半の質は低~中等度で、今後の研究によってこれらの知見が変わるかもしれません。 また、頚部への局所麻酔薬の投与量や投与法についてのエビデンスをみつけることはできませんでした。 これらの効果を推定するのに必要なデータを示すため、十分な数の参加者の質の高い試験が必要です。

著者の結論: 

2件の小規模試験によれば、プラセボまたは無治療群に比べて 経口鎮痛薬投与を受けた女性に疼痛緩和について有意はなかった(女性患者129名、MD -3.51、95%CI -10.03~3.01)。 このエビデンスの質は低~中等度と考えられた。 日常的臨床診療では、血管収縮薬併用の局所麻酔薬(リグノカインとアドレナリン、またはプリロカインとフェリプレシン)の子宮頚部注射が最善の鎮痛薬治療と考えられる。 しかし、経口鎮痛薬の有効性、至適な投与経路、および局所麻酔薬の至適投与量を推定するのに必要なデータを示すため、 十分な検出力のある質の高いさらなる試験を実施すべきである。

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背景: 

子宮頚部の前癌病変[子宮頚部上皮内腫瘍(CIN)]は、通常切除術または焼灼術により治療される。 英国では、国民保健サービスの子宮頚部スクリーニングガイドラインによると、80%超の治療は外来(コルポスコピークリニック)で行われるべきであると提言している。 さらに、これらのガイドラインでは、レーザー治療または切除治療前に必ず鎮痛を行うべきであると勧めている。 これらの処置の間に疼痛を軽減する様々な疼痛緩和対策が現在取られている。

目的: 

本レビューの目的は、疼痛緩和の実施によりコルポスコピー治療の疼痛および術後の疼痛が軽減するか評価することであった。

検索方法: 

コルポスコピー治療のための鎮痛に関連しているあらゆるデザインの研究について、 Cochrane Gynaecological Cancer Review Group Specialised Register、Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL、2011年5月)(2011年第2号)、 MEDLINE(1950~2011年5月第2週)、EMBASE(1980~2011年第20週)を検索した。 臨床試験登録、学会抄録、選択した研究の参考文献リストも検索し、本分野の専門家に連絡を取った。

選択基準: 

コルポスコピークリニック外来で円形切除術、レーザー焼灼術、レーザー切除術または凍結手術を受けるCIN成人女性を対象に、 子宮頚部に対する外来治療前、中、後のすべての種類の疼痛緩和を比較しているランダム化比較試験(RCT)。

データ収集と分析: 

レビューアらは、別々に研究の適格性を評価し、データを抽出し、バイアスリスクを評価した。 RevManにデータを入力し、正確を期すためにダブルチェックを行った。 可能であれば、平均疼痛スコア、および平均の標準誤とその95%信頼区間(CI)として結果を示し、データをメタアナリシスで統合した。

主な結果: 

本レビューに方法論的質が様々である17件のRCT(女性患者1,567名)を選択した。 これらの試験は、CINの治療を受ける女性患者での疼痛軽減を目的とした多様な介入を比較しており、 リグノカイン単剤、リグノカインとアドレナリン、プリロカインとフェリプレシンによる子宮頚部注射、経口投与の鎮痛薬[非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)]、 鎮痛薬吸入(イソフルランとデスフルランの混合ガス)、リグノカインスプレー、コカインスプレー、ベンゾカインゲルの外用、 リグノカイン‐プリロカインクリーム(EMLAクリーム)、経皮的電気神経刺激法(TENS)などがあった。 大半の比較は、単一試験分析に限られており、治療間の疼痛スコアのがあるかどうかを検出するには検出力不足であった。 浸潤性局所麻酔(2%リグノカイン:頚部周囲または直接頚部注射)を受けた女性と プラセボの食塩水の投与を受けた女性に疼痛について有意はなかった(2試験、女性患者130名、MD -13.74、95%CI -34.32~6.83)。 しかし、血管収縮薬併用の局所麻酔の場合(リグノカインとアドレナリンの併用が1件、もう1件の試験はプリロカインとフェリプレシンの併用)、 (視覚的アナログスコアでは)無治療に比べて有意に疼痛が軽減した(2試験、女性患者95名、MD -23.73、95%CI -37.53~-9.93)。 局所麻酔と血管収縮薬併用の2つの種類を比較した場合、プリロカインとフェリプレシンの併用は、 疼痛コントロール効果についてリグノカインとアドレナリンの併用と変わらなかった (1試験、女性患者200名、MD -0.05、95%CI -0.26~0.16)。 プリロカインとフェリプレシン併用(1.74 ± 0.98)に比べて、リグノカインとアドレナリン併用(1.33 ± 1.05)の方が観察された失血スコアの平均値が低かったが、 両群の総スコアとも低かったため、このは臨床的に意味のあるものではなかった(1試験、女性患者200名、MD 0.41、95%CI 0.13~0.69)。 プリロカイン+フェリプレシンによる標準的頚部注射に加えた混合ガス(イソフルランとデスフルラン)吸入により、 LLETZ(移行帯広汎円鍵切除術)処置中の疼痛が有意に軽減した(1試験、女性389名、MD -7.20、95%CI -12.45~-1.95)。 リグノカイン+オルニプレシンにより、リグノカイン単剤の頚部注射に比べて、 測定した失血量が有意に少なく(1試験、女性患者100名、MD -8.75、95%CI -10.43~-7.07)、 治療時間が有意に短かった(1試験、女性患者100名、MD -7.72、95%CI -8.49~-6.95)。 1件のメタアナリシスでは、経口鎮痛薬の投与を受けた女性とプラセボの投与を受けた女性に 視覚的アナログスコアを用いた疼痛について統計学的に有意であるはなかった(2試験、女性患者129名、MD -3.51、95% CI -10.03~3.01、Analysis 6.1)。 プラセボに比べてコカインスプレーでは、有意に疼痛が軽減し(1試験、女性患者50名、MD -28、95%CI -37.86~-18.14)、 失血が少なかった(1試験、女性患者50名、MD 0.04、95%CI 0~0.70)。 いずれの試験でも重篤な有害事象の報告はなく、試験の大多数においてそのバイアスリスクは中等度から高度であった(12件)。

訳注: 

監  訳: 大神 英一,2013.2.19

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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