転移性大腸癌に対する抗血管新生療法

著者の結論: 

転移性大腸癌の初回およびセカンドライン療法において化学療法にベバシズマブを追加すると、PFSおよびOSがいずれも延長する。

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背景: 

腫瘍の血管新生を阻害し、血管内皮細胞を標的とする血管新生阻害薬が開発された。そのいくつかはすでに保健当局からの承認を得ており、患者ケアにうまく組み入れられているが、多くの薬剤は未だ開発中であり、この方法の臨床的価値を確立する必要がある。

目的: 

転移性大腸癌患者を対象に、化学療法に追加する標的抗血管新生療法の有効性と毒性を評価する。主要エンドポイントは、無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)とする。奏効率、毒性、二次的切除可能性を副次的エンドポイントとした。血管新生阻害薬を併用する初回化学療法を、血管新生阻害薬を用いない同様の化学療法と比較し、さらにセカンドライン化学療法での血管新生阻害薬の併用を、血管新生阻害薬を用いない同様の化学療法と比較した。

検索方法: 

Cochrane Central Register of Controlled Trials、MEDLINEのほか、2008年11月までのECCO、ESMOおよびASCOの予稿集を検索した。さらに、試験の参考文献リストをスキャンし、この分野の専門家および製薬会社にも問い合わせて詳細な情報を得た。

選択基準: 

転移性大腸癌(MCRC)における標的抗血管新生薬のランダム化比較試験

データ収集と分析: 

すでに発表されているプロトコルに従い、データ収集および分析を実施した。個々の患者データは得られなかったため、分析には集計データを利用した。主要エンドポイントの要約統計量はハザード比(HR)およびその95%信頼区間とした。

主な結果: 

現時点で、本メタアナリシスに適格な初回化学療法に関する試験はベバシズマブ(患者3,101例を含む5試験)およびバタラニブ(患者1168例を含む1試験)について入手できた。ベバシズマブを併用する、または併用しない初回化学療法の比較で、PFS(0.61、95%CI0.45~0.83)およびOS(0.81、95%CI 0.73~0.90)のHRから、ベバシズマブで治療された患者に有意な利益があることが確認された。しかし、PFSに対する効果には有意な異質性があった。セカンドライン化学療法については、ベバシズマブを併用した場合も併用しない場合もPFS(HR0.61、95%CI0.51~0.73)およびOS(HR 0.75、95%CI 0.63~0.89)のいずれにも利益があることが、ランダム化試験1件で実証された。治療関連した死亡および60日間死亡率に有意はなかったが、ベバシズマブで治療された患者でグレードIII/IVの高血圧、動脈血栓塞栓症および胃腸穿孔の発現率が高かった。バタラニブについては、現在入手可能なデータからPFSおよびOSに有意ではないが利益があることが示された。

訳注: 

監  訳: 柴田 実,2009.11.16

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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