妊娠高血圧腎症の治療に対する中薬(中医学の薬草療法)

妊娠高血圧腎症は、妊娠20週以降に高血圧および尿中の蛋白質(蛋白尿)を認める状態のことである。軽度の妊娠高血圧腎症の女性のほとんどは、問題なく出産する。しかし重度の妊娠高血圧腎症は、肝機能障害、血液凝固障害などを引き起こす可能性があり、発作(子癇)を起こす女性もいる。この場合、非常にまれに重篤な合併症を引き起こし、母子ともに生命に関わる状況に陥る可能性がある。中薬(中医学の薬草療法)は、肝臓および腎臓などの影響を受けやすい臓器を保護する助けとなる可能性があるため、中薬の治療法は妊娠高血圧腎症に役立つ可能性がある。中医学では、病因、診断および治療の概念を統合する。中医学の典型的な治療法が、自然の植物からなる一種類または数種類の生薬がベースとなる中薬である。生薬の選択は、個人および中医学の症状に基づいている。処方される生薬は、独特の方法で調合される。ここ数十年、中医学は西洋医学の治療概念を組み込み、統合してきた。すべての中薬にリスクが無いわけではなく、有害事象、例えばアレルギー反応、中薬腎症(腎障害)などの有害事象に関する懸念がある。

著者は妊娠高血圧腎症、毒血症、妊娠誘発性高血圧の女性を、中薬(または西洋医学と中医学の統合)、または対照治療にランダムに割り付けた比較試験を調査した。対照治療は、プラセボ治療、無治療、または西洋医学的治療と考えられた。著者は対象にふさわしい試験を同定できず、妊娠高血圧腎症の治療に対する中薬の効果および安全性は、依然として不明である。著者は45件の研究を同定したが、ランダム化比較試験に分類できるような適切な方法論による報告がなされた試験は認められなかった。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.12.25] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 【CD005126.pub2】

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