1型糖尿病に対する持続インスリン皮下注入療法(CSII)と頻回インスリン注射療法との比較

著者の結論: 

CSIIはMIよりも1型糖尿病の人の血糖コントロールに優れていることを示唆する何らかのエビデンスがある。CSIIによって非重度のインスリン低血糖イベントが減少するとは考えられない。有害事象、死亡率、罹病率、費用に関するエビデンスは不十分である。

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背景: 

1型糖尿病はインスリン分泌欠乏の結果生じる代謝異常である。1型糖尿病の発症はいずれの年齢でも起こるようであり、小児および青年期の最も一般的な慢性疾患のひとつである。発症を予防することが分かっている介入は存在しないため、有効な治療法を入手することがきわめて重要である。血糖コントロールはインスリン補充によって維持され、「従来型」インスリン療法(1日に頻回注射)または持続インスリン皮下注入療法(CSII)の形でおそらく維持される。

目的: 

1型糖尿病の人を対象にCSIIの効果を頻回インスリン注射療法(MI)の場合と比較評価する。

検索戦略: 

コクラン・ライブラリ、MEDLINE、EMBASEおよびCINAHLの電子検索により研究を入手した。

選択基準: 

1型糖尿病の人を対象にCSIIを1日3回以上のインスリン注射(MI)と比較しているランダム化比較試験である研究を含めた。

データ収集と分析: 

2名のレビューアが独立にバイアス・リスクを評価し、含めた研究の特性を抽出した。欠損情報を入手するために研究者に問い合わせた。ランダム効果モデルを用いて通則的な逆分散メタアナリシスを行った。

主な結果: 

23件の研究で1型糖尿病の参加者976例をいずれかの介入にランダム化していた。糖化ヘモグロビンA1c(HbA1c)において、CSIIに有利な統計学的有意差があった(重み付け平均差-0.3%(95%信頼区間-0.1~-0.4)。非重度のインスリン低血糖については介入の間で明確な差はなかったが、重度のインスリン低血糖はCSII使用者で減少すると考えられた。生活の質の指標から、CSIIはMIよりも良好であることが示唆されている。体重に有意差は認められなかった。有害事象については適切に報告されておらず、死亡率、罹病率および費用に関する情報は入手できなかった。

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