周術期輸血と大腸癌再発

著者の結論: 

今回更新したメタアナリシスにより、前回の結果が確認され、PBTと根治可能な大腸癌の再発との関連性が裏付けられた。しかし、異質性が検出されたことと、手術手技の影響を評価できなかったことから、依然として因果関係を断言するには至っていない。PBTの適用は慎重に限定すべきであると思われる。

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背景: 

移植前輸血により同種移植腎の生着に改善がみられるが、輸血が癌治療に対して有害な作用を及ぼす可能性があるとの注意喚起がなされている。

目的: 

今回のメタアナリシスによって、大腸癌再発に対する周術期輸血(PBT)の影響を評価する。以前発表されたメタアナリシス(Amato 2006年)の結果を更新し、2009年12月までのデータによって評価を行う。

検索方法: 

Medline、EMBASE、コクラン・ライブラリ、試験のウェブ登録、CCG Databaseを用いて論文を検索した。使用した検索式は、{colon OR rectal OR colorectal}WITH{cancer OR tumor OR neoplasm} AND transfusionであった。出版バイアスがあるため、国際会議の議事録を詳細に調べることによって補った。

選択基準: 

大腸癌(デュークス分類ステージA~C、Astler-Coller分類ステージA~C2、またはTNM分類ステージT1~T3a/N0~N1/M0のいずれかに分類)の治癒的切除を受けた患者で、手術1カ月以内に血液製剤の投与を受けていた患者を選択した。遠隔転移があった患者、ならびに追跡期間が短期の研究またはデータが存在しない研究は除外した。

データ収集と分析: 

データ収集用に特別な様式を作成した。データはクロスチェックし、繰り返し発表されたものについては最近の発表を使用した。EvansとPollockの方法を用いて論文の質を評価した。オッズ比(OR、およびその95%信頼区間)を研究ごとに計算し、RevMan(バージョン5)によって統合推定値を算出した。可能な場合は、癌再発の危険因子によってデータを層別化した。

主な結果: 

前回のレビューを2009年12月時点までに更新したところ、その後追加されたものとして41件の文献が同定され、参照文献は総計278件となった。この内の242件は、生存解析(27件)、重複した報告(29件)、レター/レビュー(71件)またはデータなし(115件)のために除外した。患者12,127例を含む36件の研究が採択された。23件ではPBTの有害作用が示された。22件では多変量解析も使用されており、14件ではPBTに独立した影響があることが明らかなっていた。PBTが大腸癌再発に及ぼす影響の統合推定値から、ランダム研究において輸血を受けた患者についての大腸癌再発のORは1.42であった(95%CI、1.20~1.67)。層別化したメタアナリシスにより、施設および大腸癌の病期によって患者を層別した場合でも、これらの結果が確認された。PBTの影響は、異質性が検出されたものの、施行時期、種類、用量との関係にかかわらず認められた。手術手技に関するデータはさらなる解析に利用できなかった。

訳注: 

監  訳: 柴田 実,2011.10.4

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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