マッサージおよびタッチングによる介入は、認知症または関連した諸問題に対して有効であるという可能性について結論を導き出すにはエビデンスは十分ではない。

マッサージおよびタッチングによる介入は、認知症患者での不安、激越行動、うつ病の軽減また可能であれば認知の低下遅延に用いられる薬学的、その他治療法に取って代わる代替療法または補助療法として提案されてきている。このレビューでは、認知症患者を対象としたマッサージの使用に関する既存の研究の概要を示す。マッサージによる介入の効果に関する18件の研究が確認されたが、試験実施方法が十分に堅実であり、効果の疑問に応えるエビデンスとなる小規模の研究は2件のみであった。

現在、マッサージおよびタッチングによる介入を支持する小規模のエビデンスが得られているが、調査範囲としては一般的な結論に至るには限定的である。さらに、品質の高いランダム化比較試験が必要である。

著者の結論: 

マッサージおよびタッチングは、認知症に関連した行動、感情および他の状態の管理を目的として他の療法の代替療法または補完療法として役立つ可能性がある。しかし、これらの介入の有用性に関する明確なエビデンスを得るには、さらなる試験が必要である。

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背景: 

マッサージおよびタッチングは、不安、興奮行動、うつ病など認知症に関連する病状の範囲を減少または管理する目的で、他の治療法とともに実施される非薬理学的代替療法・補助治療として提案されている。マッサージとタッチングにより認知低下が軽減する可能性も示唆されている。

目的: 

不安、興奮性行動、うつ病などの認知症に関連する症状に対する一連のマッサージおよびタッチ療法の効果を評価するために、有害作用を特定し、今後の試験について推奨を提供する。

検索方法: 

2005年7月12日にSpecialized Register of the Cochrane Dementia and Cognitive Improvement Groupを検索し、「massage(マッサージ)」、「reflexology(リフレクソロジー)」、「touch(タッチ)」および「shiatsu(指圧)」の用語を用いた検索により試験を確認した。この患者登録簿には、すべての主要な医療介護データベースや多くの継続中の治験データベースの記録が含まれており、定期的に更新されるものである。さらに、一般的な文献や特定の文献のデータベースを検索し、患者およびセラピスト組織に問い合わせを行った。

選択基準: 

ランダム化比較試験で、各種認知症患者に、他の治療を実施する場合と治療を実施しない場合と比較してマッサージまたはタッチングによる介入を提供した試験、および行動上の問題、介護者の負担、感情的苦痛または認知能力の測定値などの効果パラメーターとした試験を選考対象とした。さらに、選択のフィルタとして最小限の試験方法に関して一連の品質基準を採用した。

データ収集と分析: 

最初の検索で34報の参考文献を確認した。これらのうち7件は実際のランダム化比較試験、またはランダム化比較試験可能性があり、試験方法の基準の最低要件を満たした試験は2件のみであったことが明らかとなった。

主な結果: 

非常に限られた量の信頼性が高いエビデンスは、認知症に関連した諸問題に対するマッサージおよびタッチングによる介入を支持している。しかしこのエビデンスは、激越行動を即効的または短期的に軽減させるためのハンドマッサージ、および栄養摂取を正常化させるために食事を口頭で促すタッチングの追加で実施する2点の特定用途に用いられているのみである。既存のエビデンスは、当該介入法の効果や考えられる副作用に関する一般的な結論を裏付けるものではない。重篤な副作用は認められなかった。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.2.25]
《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。
 CD004989 Pub2

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