妊婦に対する複数の微量栄養素の補充

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論点

低所得から中所得の国々では、多くの女性が貧しい食生活を送っているため、健康に必要な栄養素や微量栄養素が不足している。微量栄養素とは、ごく少量ではあるが、体の正常な機能、成長および発育に重要であり、体が必要とするビタミンやミネラルのことである。妊娠中の女性は胎児にも栄養を与える必要があり、栄養不足になりやすい。このため、栄養不足が妊娠中の母子の健康に影響を与える可能性がある。

重要である理由

妊婦に複数のベネフィットをもたらすために、複数の微量栄養素を組み合わせることが費用対効果の高い方法として提案されてきた。微量栄養素欠乏症では、各栄養素が相互に影響しあうことが知られており、相互作用によっては一部の栄養素の吸収を低下させる恐れもあるが、ひとつの栄養素よりも複数の栄養素を補充したほうが高い効果が得られる。栄養素のなかには、高用量が母子のいずれかに悪影響を及ぼす恐れもある。

得られたエビデンス

Cochrane Pregnancy and Childbirth's Trials Register(コクランの妊娠と出産に関する臨床試験登録情報)を検索した(2015年3月11日)。今回のシステマティック・レビューには試験19件(参加女性138,538例)を組み入れたが、データに寄与したのは17件(参加女性137,791例)のみであった。レビューの対象とした試験は、通常の食事に加えて、鉄と葉酸が加えられた複数の微量栄養素を補充した妊婦と、プラセボ、鉄を含むサプリメント、葉酸を含むあるいは除いたサプリメントを補充した妊婦とを比較していた。全体的にみて、複数の微量栄養素を補充した妊婦では、鉄のみまたは葉酸の有無別のサプリメントを補充した妊婦と比較して、低出生体重児数および在胎不当過小児(Small-for-Gestational-Age、妊娠期間に比較して出生体重が 10パーセンタイル未満)児数が少なかった。主な結果のエビデンスは質の高いものであった。

結果が意味すること

このような所見は、他のいくつかのシステマティック・レビューで確認された結果と一致しており、複数の微量栄養素欠乏症が広く女性に認められる低所得から中所得の国々では、妊婦に対して鉄と葉酸に加えて複数の微量栄養素を補充する指導を行うための強力な基盤となる。

訳注: 

《実施組織》厚生労働省「「統合医療」に係る情報発信等推進事業」(eJIM:http://www.ejim.ncgg.go.jp/)[2018.12.25] 《注意》この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、eJIM事務局までご連絡ください。なお、2013年6月からコクラン・ライブラリーのNew review, Updated reviewとも日単位で更新されています。eJIMでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、タイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。 【CD004905.pub5】

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