成人の腹圧性尿失禁に対するセロトニンとノルアドレナリンの再取込み阻害薬(SNRI)

著者の結論: 

入手できたエビデンスは、デュロキセチン治療が腹圧性尿失禁患者の生活の質を有意に改善することができることを示唆しているが、利益が継続するのかどうかは不明である。有害作用は多いが重篤ではない。デュロキセチンに割り付けられた参加者のうち約3名に1名が治療関連有害作用(最も多いのは悪心)を報告し、約8名に1名がそのために治療を中止した。

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背景: 

これまで、腹圧性尿失禁(SUI)の管理に対する標準的推奨は骨盤底筋訓練(PFMT)または手術のいずれかであった。セロトニン-ノルアドレナリン再取込み阻害薬(SNRI)のデュロキセチンによる新しい形の薬物治療が今やこの疾患の治療に役割を占めているようである。

目的: 

SUIまたは腹圧性失禁を含む混合型尿失禁(MUI)、またはその両方がある女性の治療においてSNRIがプラセボ(または無治療、他の薬理学的治療および非薬理学的治療、または手術)よりも優れているかどうか、またどの用量を使うべきかを判定する。

検索方法: 

Cochrane Incontinence Group specialised register(2004年12月検索)、(CENTRAL)(Issue 2、2004)、MEDLINE(1966年1月~2004年9月)、PREMEDLINE(2004年3月11日)、および関連性のある記事の文献リストを検索した。

選択基準: 

SUIまたはMUIに対する治療で少なくとも1件の治療群にSNRIを使ったすべてのランダム化または準ランダム化比較試験

データ収集と分析: 

2名のレビューアがレビューに組み入れるための試験の適切性と研究手法の質を評価した。3名のレビューアがあらかじめ決めた基準によりデータを抽出した。解析はCochrane Review ManagerソフトウエアRevManを使って行った。

主な結果: 

ほとんどがSUIである3,327名の成人を組み入れ、デュロキセチンまたはプラセボランダムに割り付けた9件のランダム化試験をこのレビューに含めた。個々の試験の2群のさまざまなベースライン特性は共通していた。治療継続期間は3~12週間であった。デュロキセチンは患者の生活の質の改善の点でプラセボよりも有意にすぐれ(加重平均値の5.26、95%信頼区間 3.84~6.68. P< 0.00001)また改善の認識が優れていた。個々の研究はデュロキセチンによる治療中に失禁エピソード頻度(IEF)の約50%の有意な低下を示した。しかしながら客観的な治癒に関してはデータが比較的少なく、腹圧パッドテストと24時間のパッド重量の変化のメタアナリシスはデュロキセチンがプラセボに優るという利益を示すことはできなかった。主観的治癒は、効果サイズは小さかったが(3%)デュロキセチンに有利であった。1件の試験は、1週間あたりのIEFの低下率の中央値に基づきデュロキセチンは骨盤底筋訓練単独よりもIEFの低下に優れていることを示唆した(P < 0.05)。重大な副作用がデュロキセチン使用に伴うことが多かったが、許容しうるものと報告された。

訳注: 

監  訳: 2006.6.23

実施組織: 厚生労働省委託事業によりMindsが実施した。

ご注意 : この日本語訳は、臨床医、疫学研究者などによる翻訳のチェックを受けて公開していますが、訳語の間違いなどお気づきの点がございましたら、Minds事務局までご連絡ください。Mindsでは最新版の日本語訳を掲載するよう努めておりますが、編集作業に伴うタイム・ラグが生じている場合もあります。ご利用に際しては、最新版(英語版)の内容をご確認ください。

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